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2011.11.23 Wed
これもKeyboardist Union@仙台のライヴ用に書いた曲。冒頭の4分音符3つ、こんな単純な音形からメロディを展開できるか実験してみたのだが、その後に続くメロディもハーモニーも実に陳腐なものになってしまった。反省と後悔からしばらく曲そのものを忘れていたのだが、このアルバムを作るにあたり自作曲を整理していて存在を思い出した。改めて演奏してみると定型の要素ばかりではあるが、「よくある音をよくある形にまとめる」ということにも挑戦してみる価値があるのではないかと思い直した。となるとこの手の音楽のお手本はイージーリスニングであり、イージーリスニングと言えば自分にとってはポール・モーリアとイコールである。
ポール・モーリアと言えば鈴木雅光君である。今作のゲストとして北田さんのように鍵盤奏者が鍵盤奏者を呼ぶという冒険をしたように、この曲では雅光君にストリングアレンジをお願いした。打ち込み音楽作家がアレンジを第三者に依頼するというのもまた同じくらいの冒険と言えよう。
どこも難しい要素の無い曲だし、彼なら楽勝で出来上がると踏んでいたがさにあらず。彼の頭の中ではものすごい量の計算、アレンジの葛藤が行われていたのだ。雅光君曰く、先に録音されている服部のピアノ演奏がコードネーム以上のテンションノートを気ままに加えているため、不用意にストリングスのラインを作るとすぐに音がぶつかりあってしまうという。「誰かのアレンジに1パートだけのアレンジで参加するのは本当に難しい」という雅光君の感想は流石というしかない。
結局ストリングスセクション(とは言ってもサンプラーなのだが)のダビング作業は最後になってしまったのだが、逆にそれが奏功した。難航したストリングスアレンジは秋保太郎君と佐藤哲君のリズムセクションを録音したあとの仮ミックスを聴いてもらったらあっと言う間に出来上がったのである。生音の説得力ということももちろんあるが、彼らの演奏がぶれることなく一点突端の筋が通った演奏だったからということも大きいはずである。
秋保、佐藤の両名による演奏が想定よりもロックンロールな感じになったことも、トラッドなストリングスセクションとの良い対比になっていると思う。特筆すべきは哲君のベースで、太郎君のドラムを録音した直後の未完成音源に自宅でダビングしてくれたものである。彼は横浜在住なので私が録音に立ち合うことはできず、音声ファイルのやりとりだけで完結した。ライヴステージでの初演時が太郎君と哲君のペアだったのでどうしてもお願いしたかったのだが、過去に一度だけ演奏したことがあるとは言え、ここまで的確なプレイで応えてくれるとは。「弾いてください」「ファイル送ります」というやり取りだけで、である。そしてここまで分厚いバックの演奏でも芯の太いフルートを演奏した林巨匠もさすがである。この曲も服部が演奏しているのはピアノのみで、鍵盤奏者としてちゃんとアンサンブルに貢献できているのかやや自信が無い(笑)。次回作に生かすべき点であろう。
Drums : 秋保太郎
Electric Bass Guitar : 佐藤哲
Flute : 林宏樹
Strings Arrangement : 鈴木雅光
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| 08:42
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2011.11.21 Mon
どういう経緯で、どういう心境でこの曲が生まれたのかどうしても思い出せない。アルバムの中に激しい曲が欲しいなぁと思っていたのは確かである。左様、本アルバムの中でこの曲が最も新しい曲なのだ。頭の中にもやもやと漂っていたメロディを鍵盤の上で無理やりねじ伏せつつ固定させた印象がある。
メロディが固着し始めた最初の段階からたくさんのパーカッションが鳴っているイメージがあった。今考えると欲しかったのはパーカッションという固有の要素ではなく、大人数で演奏した際の「揺らぎ」のようなものだったのだと思う。パーカッションに限らず大人数での演奏には打ち込みでは再現しづらい個々人の「グルーヴのずれ」が生じる。このずれが渦を巻いて曲の中の大きなうねりになるのだと思う。複数のミュージシャンが関わることによって異なる価値観が曲に持ち込まれるあの感覚が欲しかったのだろう。そこでTrack1「やさしい風」同様に斎藤寛君にパーカッションアレンジを依頼。パーカッションを含めた曲全体のアレンジに関してはむしろこの曲の方がハイライトである。
パーカッションの録音はその「やさしい風」と同じタイミングで仙台市青年文化センターのスタジオで録音した。斎藤君の中でプランはほぼ確定みたいな状態らしいし、2曲だけだからそれほど時間もかからず録り終わるだろうと高をくくっていたのだが、押さえていた時間ギリギリまでかかってしまった。その分このリズムの厚みはどうだ。打楽器の洪水。及川君のドラムもこのパーカッションのダビングを想定して叩かれており、結果的にアンサンブルとしてとてもまとまったものになっていると思う。こういう曲を生楽器で録音できる日が来ようとは…。高校生の頃の自分に教えてやりたい。
Percussion : 斎藤寛、行方基朗、南條ゆか
Drums : 及川文和
Acoustic Bass : 佐藤弘基
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2011.11.20 Sun
手紙の結び文「敬具」を英語で言うとこうなるらしい。オールドファッションのバラッドである。懐かしい人に手紙を書くような気分だねぇ~などと浮かれて作曲。そもそもピアノソロでも弾ききれることを念頭に作曲したのだが、ソロにしてもバンドにしても、この「オールドファッション」なピアノが難しい。極論すれば私には弾けないのである。演奏してもらうメンバーを及川君、弘基さんに想定した段階で禁じ手を使うことにした。その禁じ手とは以前より「心の師匠」と崇めていたピアニスト北田了一さんのご登場である。考えてみれば鍵盤奏者の曲に鍵盤奏者を招くというのもあまり無い話ではあるが、一度思いついてしまうと北田さんのピアノをバックに鍵盤ハーモニカ吹きまくりたい!という欲望を抑えることができなかった(笑)。
レコーディングには鈴木雅光君の申し出をありがたく受け、彼の自宅スタジオに機材を持ち込んでレコーディングさせてもらった。ピアノに立てたマイクはaudio-technica AT-4040が2本。エンジニアリング上の師匠のひとり、S師匠よりお借りしたMetric Halo ULN-2のマイクプリで収録した。北田さんがきちんとピアノを鳴らしてくれたおかげで結果的にかなり好みの音で録ることができた。プレイの方など言わずもがなである。あと3年経ってもこの曲の北田さんのようには私は弾けないだろう。
Drums : 及川文和
Acoustic Bass : 佐藤弘基
Piano : 北田了一
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| 17:51
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2011.11.19 Sat
今回のアルバム収録曲中もっとも古い曲。この曲はギターのフレットから擦り出した。当初はギターでメロディを弾こうと思っていたのだが、となると曲全体もオーソドックスなボサノバでやりたくなってしまう。ところがボサノバギターを弾けないのだ、私は。
もちろんギタリストに頼むことも考えてはみたのだが、その前に自分でできることはやってみようということで、わざとらしいくらいの打ち込みテイストで固めてみた。基本になっているパーツはKORG ER-1。MIDI同期は取らずBPMを合わせてER-1のスタートボタンを押すというアナログな方法で取り込み、波形エディットでタイミングを合わせた。ER-1独特のクロックを重視した結果である。
生楽器が無いと本当に面白くなくなってしまうので、フルートソロを林君にお願いした。イメージは「夏のプールサイド。水着姿のセレブばかりなのにひとりはしゃぎまわる子ども。その子のせいでせっかくのプールサイドの空気が一挙にカオスに」というわけのわからないオーダーをした。フルートにかけたディレイはビットクラッシャーで歪ませた。「空気読めない感」が出ているだろうか。
Flute:林宏樹
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