暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

2008年10月 | ARCHIVE-SELECT | 2008年12月

≫ EDIT

結局MIDI規格の話になる

うっち~こと内ヶ崎君からあるファイルが届けられた。

最近彼はソフトウェア音源(ストリングスとピアノ)を導入したのだが、彼の愛機PowerMacG5には殊の外それらは重荷なのだそうだ。結局G5は買い替えることになり、その際彼から相談を受けたりしたもんだから「実際にその音源を使った曲を聴かせてくれ」と頼んだのだ。それが届いた次第。

送ってきてくれたメールには「感想を聞きたい」と書いてくれていたのでメールを打とうと思ったのだが、取り留めない長文になってしまいそうだったので直接電話した。

幸い彼は一発で電話に出てくれて、件の音源の話から始まって機材の話やテクニックの話をたくさんした。彼はいろいろなところから音源制作の依頼が来たり専門学校で後進の指導にあたったりとにかく忙しい人だが、逆に言えば音楽制作の前線に居るということであり、彼との会話は含蓄と刺激に満ちていた。オレもこうしちゃいられない!と思うのだ。

さてその会話の中で、ソフトウェア音源のレイテンシーの話になり、結局彼もその点では不満を抱えつつ作業しているとのことだった。今回聴かせてくれた音源についても、もとはハードウェア音源で賄っていたストリングスとピアノをソフトウェア音源に差し替えただけ、という状態のものだった。ここには大きな問題が含まれている。本来演奏者は打ち込みの際は入力時の音色を前提に演奏を組み立てる。それにはアタックやリリースの微妙な差は多大な影響を及ぼすのである。仕方ないから同一の演奏データで音色(というか音源)の差し替えを日常的に行ってはいるが、大げさに言えば演奏者のアイデンティティに関わる大問題のはずなのだ。

聞き手にそれが意識されるかどうかはさておき、真摯に「演奏」という行為を考えた場合、これは看過できないと私は思う。もっと言えばエンジニアやプロデューサー、ディレクターといった立場の人にもこのことは意識して欲しいと思っている。

さてうっち~も私もここぞという場面ではハードウェア音源を繰り出すタイプ。MIDIインターフェイスって改良されねぇよなぁ、ということも話題になった。と言うか、きっとMIDIそのものがもっと改良されても良いはずなのだけど。とにかく速度が欲しい。マスターキーボードの鍵盤を押したその瞬間にスレーヴ音源が鳴るくらい。時差は1~2msくらいで頼むよ、ホント。

うっち~の教え子にはオーディオインターフェイスとMIDIインターフェイスの区別がつかない人がいるという。そんな状況でMIDIインターフェイスの新製品が華々しく登場するなんてことは考えられないけど。

思えば私は非常に良い時代をリアルタイムで生きてきたのだなぁ。中学3年生の時にYAMAHA DX7が登場、高校生活の3年間でD-50だのDW-6000、8000だのデジタルシンセの黎明期の喧噪に立ち会い、M1やMirageの登場を目撃し、カセットMTRに金をつぎ込み、20歳過ぎにはMacintosh ClassicでEZ Visionを使い始めたのである。現在DAWを利用した音楽制作の基礎が知らず知らずの内に身に付かざるを得ない世代なのだ。
スポンサーサイト

| 機材 | 18:34 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

2008年10月 | ARCHIVE-SELECT | 2008年12月