暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

2010年12月 | ARCHIVE-SELECT | 2011年02月

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「風来」の音楽・完成しました

Theatre Group OCT/PASSの新作「風来~風喰らい人さらい~」の音楽制作、本日を以て完成した。稽古中の裕人さんに最後の曲「タンゴ」を持って行き確認していただいた。結果OK。これで肩の荷が降りた。

今回はふたつ大きな冒険をした。ひとつは音楽の打合せを全く行わずに、いきなり「できました」と言って音源を持ち込んだこと。これはまぁ、毎回やれることでは無いだろう。色々と幸運が重なった結果である。今までは割りと綿密に打合せを行ってはいた。しかし打合せで確認したイメージには裕人さん、服部双方で少しずつズレていて(当然だ)、毎回そのズレを修正するのではなく裕人さんが深い度量で「うん、これもいいでしょう!」と受け入れてくださっていたわけだ。恐らく裕人さんには台本を書いている最中に頭の中で鳴っていたであろう音と、服部が提示する音とのズレを楽しむ余裕があるのである。また服部としてもそういうズレが無ければ、そしてそれを許容できなければわざわざオリジナルの音楽を作らせる意味が薄いと考える。服部はこれを「価値観の多層化」と言っている。言ってみればバンドでの演奏も価値観の多層化なのだ。

もうひとつはギターとパーカッションしか演奏していないことである。台本を一読し(しかもその時はまだ1/3くらいしかできていなかった)、この芝居の音楽にはとにかくスピード感が必要だと思った。同時にボキボキと音がするくらい骨っぽい方が良いとも思った。実はこういう演出というかアレンジは、シンセサイザーの多重録音では出しにくい味である。サンプリングのリズムなんて実に底の浅い平面的な信号でしかないし、作り込めば作り込むほど凹凸の無い音になっていく。こういう時は生楽器をジャカジャカやるに限る。残念ながらピアノでスピード感溢れる演奏をする自信がなかったので、今回は生ギターでいくことにした。さらにパーカッションである。これは以前エントリーしたとおり、親友のあにまる君に依頼して色々叩いてもらい同時録音、早い話が一発録りで録音した。

結果的に今回も裕人さんの度量に受け入れてもらった形なのかもしれないが、音楽を作る立場として(演出家や役者とは違う立場で)台本を解釈してそれを持ち込めたという自負はある。後は本番を観客として見るばかり。ひたすら楽しみ。役者、スタッフのみなさん、がんばってください。
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