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暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

2011年10月 | ARCHIVE-SELECT | 2011年12月

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La Passione楽曲解説・10「Burning Red」

どういう経緯で、どういう心境でこの曲が生まれたのかどうしても思い出せない。アルバムの中に激しい曲が欲しいなぁと思っていたのは確かである。左様、本アルバムの中でこの曲が最も新しい曲なのだ。頭の中にもやもやと漂っていたメロディを鍵盤の上で無理やりねじ伏せつつ固定させた印象がある。

メロディが固着し始めた最初の段階からたくさんのパーカッションが鳴っているイメージがあった。今考えると欲しかったのはパーカッションという固有の要素ではなく、大人数で演奏した際の「揺らぎ」のようなものだったのだと思う。パーカッションに限らず大人数での演奏には打ち込みでは再現しづらい個々人の「グルーヴのずれ」が生じる。このずれが渦を巻いて曲の中の大きなうねりになるのだと思う。複数のミュージシャンが関わることによって異なる価値観が曲に持ち込まれるあの感覚が欲しかったのだろう。そこでTrack1「やさしい風」同様に斎藤寛君にパーカッションアレンジを依頼。パーカッションを含めた曲全体のアレンジに関してはむしろこの曲の方がハイライトである。

パーカッションの録音はその「やさしい風」と同じタイミングで仙台市青年文化センターのスタジオで録音した。斎藤君の中でプランはほぼ確定みたいな状態らしいし、2曲だけだからそれほど時間もかからず録り終わるだろうと高をくくっていたのだが、押さえていた時間ギリギリまでかかってしまった。その分このリズムの厚みはどうだ。打楽器の洪水。及川君のドラムもこのパーカッションのダビングを想定して叩かれており、結果的にアンサンブルとしてとてもまとまったものになっていると思う。こういう曲を生楽器で録音できる日が来ようとは…。高校生の頃の自分に教えてやりたい。

Percussion : 斎藤寛、行方基朗、南條ゆか
Drums : 及川文和
Acoustic Bass : 佐藤弘基
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