2013.05.24 Fri
暁スタジオ流AddictiveDrumsの音作り・その2
XLN Audio社のプラグインドラム音源、Addictive Drums(以下AD)の音作りについて書いてみる。ADの概要についてはXLN Audioのサイトや輸入代理店ハイレゾリューションの製品ページをご参照いただくと供に、本解説を書いている服部がADをどう捉えているかについては前回のエントリーをご参照いただきたい。
さてADを使った暁スタジオ流の具体的なドラムサウンドの作り方だが、まずは「トップ」と呼ばれるセットの頭上に立てたステレオマイク音源から音を作って行く。
実を言うとウマいドラマーがきちんと叩いた生ドラムなら、このトップだけでドラムサウンドがほとんどOKになってしまうものだ。だから生ドラムの録音ではトップのステレオ音源が非常に重要なのである。従って私はADの場合でもトップから作っていくのだが、「作る」と言っても過剰に味付けするのではなく、いかに生っぽくきこえるかということに気をつけて調整していく。
そもそもADのデフォルト音源はかなりロック寄りな音質な上に中低域が非常に充実しており(これは大体のソフトウェア音源がそういう傾向だが)、ベースの居場所を作ってやる意味でも500Hz付近から下を整理してやる必要がある。もちろんこの段階ではベースの居場所がどの辺になるかは未確定なので、とりあえず「生ドラムらしいか」どうかだけで進める。
Fig.1はAD内部のEQをほぼ完全にオフにして、単純に2チャンネルでステレオアウトに送っている状態の、LogicProのチャンネルEQが装備しているアナライズ機能で波形描写させた画面である。500Hzから下、特に200Hz近辺に思いもかけないピークがあることがわかる。特にこれはスネアが鳴った瞬間の波形であるので、スネアの音色的な正体は200Hz付近に存在していることが目でわかる。「生ドラムらしいか」という観点で作業を進めるとしても、実はベースと共存する時に一番アタマを悩ませるのがこの辺の帯域でもある。
ポピュラー音楽においては、ドラムセットとベースの共存はほぼ大前提であるが、エンジニアからするとベースとドラムの素晴らしい共存は本当に難しい。当然ADの、それもトップの音だけ聴いていては調整しきれないので、必要に応じてキックやベースも鳴らしつつ進める。
Fig.2はとある曲の生ベース(ジャズベースタイプのものをライン録りしたもの)のアナライズ画面である。音色のボディとなっている周波数がドラムセットとまるかぶりなのが一目瞭然である。
曲のアレンジやベースそのものの音質にも拠るので一概には言えないが、ポピュラー音楽においてベースがベースらしく聴こえるためには300〜500Hz辺りの周波数が重要である。だがこの辺りの周波数はバスドラムやタムの存在感に直結の周波数でもあるので、ベースのためにADの300Hz付近をごっそり削ると、ペコペコしたドラムサウンドになりがちだ。80Hzより下がたっぷり鳴っていてもこの辺はフォローできないので気をつけたいところである。
※ベースの音色にとっては実は1kHz付近も重要だったりもするのだが、ここではそれはいったん無視する。
最終的にはギターやキーボードなどもこの300〜500Hz付近に進出してくるので、ミックスダウンの最中は何度もこの付近を足したり削ったりすることになる。まぁミックスダウンとはそういうものだ。次回は私が以前師匠から教わった、アタックを維持しつつコンプレッサーのツブシ感を加える方法について書く予定。
さてADを使った暁スタジオ流の具体的なドラムサウンドの作り方だが、まずは「トップ」と呼ばれるセットの頭上に立てたステレオマイク音源から音を作って行く。
実を言うとウマいドラマーがきちんと叩いた生ドラムなら、このトップだけでドラムサウンドがほとんどOKになってしまうものだ。だから生ドラムの録音ではトップのステレオ音源が非常に重要なのである。従って私はADの場合でもトップから作っていくのだが、「作る」と言っても過剰に味付けするのではなく、いかに生っぽくきこえるかということに気をつけて調整していく。
そもそもADのデフォルト音源はかなりロック寄りな音質な上に中低域が非常に充実しており(これは大体のソフトウェア音源がそういう傾向だが)、ベースの居場所を作ってやる意味でも500Hz付近から下を整理してやる必要がある。もちろんこの段階ではベースの居場所がどの辺になるかは未確定なので、とりあえず「生ドラムらしいか」どうかだけで進める。
Fig.1はAD内部のEQをほぼ完全にオフにして、単純に2チャンネルでステレオアウトに送っている状態の、LogicProのチャンネルEQが装備しているアナライズ機能で波形描写させた画面である。500Hzから下、特に200Hz近辺に思いもかけないピークがあることがわかる。特にこれはスネアが鳴った瞬間の波形であるので、スネアの音色的な正体は200Hz付近に存在していることが目でわかる。「生ドラムらしいか」という観点で作業を進めるとしても、実はベースと共存する時に一番アタマを悩ませるのがこの辺の帯域でもある。
ポピュラー音楽においては、ドラムセットとベースの共存はほぼ大前提であるが、エンジニアからするとベースとドラムの素晴らしい共存は本当に難しい。当然ADの、それもトップの音だけ聴いていては調整しきれないので、必要に応じてキックやベースも鳴らしつつ進める。
Fig.2はとある曲の生ベース(ジャズベースタイプのものをライン録りしたもの)のアナライズ画面である。音色のボディとなっている周波数がドラムセットとまるかぶりなのが一目瞭然である。
曲のアレンジやベースそのものの音質にも拠るので一概には言えないが、ポピュラー音楽においてベースがベースらしく聴こえるためには300〜500Hz辺りの周波数が重要である。だがこの辺りの周波数はバスドラムやタムの存在感に直結の周波数でもあるので、ベースのためにADの300Hz付近をごっそり削ると、ペコペコしたドラムサウンドになりがちだ。80Hzより下がたっぷり鳴っていてもこの辺はフォローできないので気をつけたいところである。
※ベースの音色にとっては実は1kHz付近も重要だったりもするのだが、ここではそれはいったん無視する。
最終的にはギターやキーボードなどもこの300〜500Hz付近に進出してくるので、ミックスダウンの最中は何度もこの付近を足したり削ったりすることになる。まぁミックスダウンとはそういうものだ。次回は私が以前師匠から教わった、アタックを維持しつつコンプレッサーのツブシ感を加える方法について書く予定。
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