完全にインプロビゼーションで、聴こえてくる朗読の声と演奏者の出す音に双方が反応すればいいんでしょ?と簡単に考えられるかもしれないが(そういうアプローチを否定はしないが)、フリージャズのインプロビゼーションと違って犯すべからずのテキスト(今回は短編小説)が厳然と存在する。その作品が観客に伝わらなければどうにもならない。もちろん本来は読み手・演奏者の解釈などあまり問題ではなく、作品が余すことなく観客に伝わることこそが重要だと考える。解釈を押し付ける人たちではなく作品をピュアなまま手渡すのが本来であるはずだ。そのために朗読者も個人練習を重ねるんだから、演奏者も演奏の設計や準備運動はしておくべきだろう。
作品をまず読む。読む。読む。向こうが声でその文章作品を表現するならこっちは音や音階で表現するわけだが、やっぱり文章を音で表現するのってひとひねり必要だよなぁ(ため息)。リハーサルを重ねてアイデアのキャッチボールをしながら世界を作り上げていくわけだが、何も準備せずにリハーサルに臨むのはやや無謀である。先日最初のリハーサルを行ったのだが、こちらはある程度フレーズや演奏の仕込みをしておいた。
幸い朗読者もそのネタで喜んでくれたので、(もう少しブラッシュアップは必要だが)ほぼ道筋は付いた。ランダムにハーモニーやフレーズを並べたつもりだったが、気が付けばちゃんと展開のある曲のようになっていた。まがりなりにも曲のような形にまとめることで、無意識に安心を求めたのだろう。やはり普段の習慣というのはなかなか抜け出せないものだ。もっとも普段あまり作らない種類の曲だったので、せっかくだからレコーディングしてみた。
ものの30分少しでほぼ完成。しばらく時間をおいて聴き直して、問題がなければアルバムに収録しよう。
そもそもクリックを使用せずに録音しているので、
こうやってLogicで譜面として出力しても
弾いている音の高さは正しいが、
音価はまったくでたらめな譜面ができあがる