暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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Keyboardist Union@仙台 Live Vol.13・幕間演奏リポート

1月30日に終了したKeyboardist Union@仙台 Live Vol.13(以下KeyUni)。今回服部は出演者としてではなく、ステージ上の場面転換の間に「幕間演奏」と称して2曲演奏し、「シンセ漫談」として機材話を行った。

13keyuni_set1.jpg
服部のセット全景。別ステージを組んだらけっこう巨大で、
スペース取り過ぎと怒られた。
YAMAHA S90XS、HAMMOND 44pro。
客席側を向いてセットされているのは
シンセ漫談のお題、YAMAHA CS15

13keyuni_set2.jpg
足元。MACKIE.MS-1402-VLZとBOSS ME-70

鍵盤ハーモニカ独奏 "entrust"
KeyUniの出演者打合せの席上でピアノソロと鍵盤ハーモニカソロとどっちがいいか聞いてみたら、即答で鍵盤ハーモニカと指定された。確かに私自身もどちらに興味があるかと問われれば後者だ。しかしハードルが高いのも後者である(笑)。鍵盤ハーモニカでメロディだけ訥々と吹いて、それが音楽になるだろうか。これについてはとても良いお手本がある。以前あるステージで一緒に演奏した林"巨匠"宏樹(テナーサックス)が、Chikenという曲をワンコーラスまるまるサックス一本だけで演奏したのを目の当たりにしたことがある。めちゃくちゃグルーヴする凄い演奏だった。きちんと説得力のあるモノフォニック楽器の演奏には、リズム楽器やハーモニーの有無なんて関係ないのだ。そのことはよくわかる。逆に言えば本来それだけ説得力のある演奏をしなければ、バンドの中で周囲の演奏と調和したり他の楽器と渡り合えるものではない。そのこまでやれて、で、ソロなのだ。

わかってはいるんだけどねぇ。

さてどうしようと悩む事一週間。花巻在住のGON Takahashiさんの真似をして、ルーパーを使用した独りアンサンブルを思い立ち、リハーサルすること1時間。あっさり挫折。どうも私は魅力的なフレーズを思いつく能力が低いようだ。改めて実感。とほほ。

となると、自分にできることを丁寧にやるしかない。自分で深く解釈できて、かつそれを実音として表出させることができる曲を考え、ありきたりだが自作曲を演奏することにした。今のところの自分の最新アルバム「La Passione」に収録した"entrust"という曲である。ハーモニーも同時に演奏したかったのでAメロはルバートで、Bメロはインテンポで。終わってみれば手堅い演奏だったかもしれないが、奏者的にはこれだけの紆余曲折と葛藤があったということで。

keyuni13_KeyHamo.jpg 

ピアノソロ "ふわり"
旅プロ仲間の水沼慎一郎が2011年にリリースしたアルバム「ふわり」は、今も変わらず愛聴盤であり、シンプルだが美しいメロディはピアノ練習の格好の題材である。普段からこのタイトル曲"ふわり"は自宅では演奏していたのだが、満を持して人前で演奏してみることにした。

オリジナル(水沼の演奏)は非常に音数も少なく(研ぎ澄まされているとも言う)、それを再現するのは至難の業なので、開き直って「服部解釈ですんで」という演奏にした。YAMAHA S90XSのChill Keyというパフォーマンスプログラムをエディットし、ピアノとVox系パッドのミックスにディレイをかけたもので演奏。作曲者水沼に直接ハーモニーを確認したり、当日の出演者鈴木雅光にピアノ演奏の指南を受けたりしてようやく演奏した。

シンセ漫談 "YAMAHA CS15を題材にアナログシンセサイザーの音作り講座"
これもKeyUniの打合せ時に「ちゃんもつさんからお題のシンセを一台指定してもらって、それで服部が何かやる」ということだけが決まっていた。1月に入ってからちゃんもつさんが指定してきたのがこのYAMAHA CS15である。左様、この個体はちゃんもつさんのものである(なんでも橋元家に導入された最初のシンセという由緒正しい1台なのだそうだ)。私自身CS10、15の音作りは30数年前の中学生時代にヤマハ一番町店の店頭で行ったきりである。やはり無理にでも事前にお借りして予習しておくべきだった。時間は舞台転換の10分程度なので、説明と言っても駆け足にならざるを得ない。駆け足なら駆け足で見本演奏のようなものを仕込んでおけば良かった。後悔先に立たず。

とは言え収穫もあった。CS15、思いの外、音の抜けが良いのである。こういう時私は「波形の素性が良い」という表現をする。現代のDAW上でプラグインシンセやPCM系・ヴァーチャルアナログ系のハードウェアシンセとミックスしたら悪目立ちする可能性も高いが、やはりこれは個性と見るべきだろう。アナログ回路だけがもつ良質の歪みがビンビンに感じられる逸品である。今年は面倒くさがらずにシンセを何台も持ち出して、必ずアナログシンセもセットに加えるようにしよう。

このようなハードルを飛び越えて、あれだけの濃い演奏者の濃い演奏を聴かされて、これだけで満足できるわけがない。いまや服部の演奏欲は最高潮なのである。今年はライヴをたくさんやりたい。
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| Keyboardist Union@仙台 | 11:02 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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