暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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困った時のアナログ頼り

相変わらずご主人不在のまま髙橋督のアルバムのミックスダウンは続いている。自分の曲の作業では気付かないことにたくさん気付く。ありがたい機会である。複数の曲を行ったり来たりしながらの作業なので、いきおいDAWの中だけで完結するケースが多いが、ある曲でどうにも収まりが悪く、モノは試しとばかりにDAWのステレオアウトをアナログ機材に通してみた。

具体的にはdbx 162というステレオコンプレッサーと、apsi 559というグラフィックイコライザーを通す。2台のアナログシグナルプロセッサーを通った信号は再びオーディオインターフェイスMetric Halo 2882I/Oに帰って来る。2882I/Oのコントロールアプリケーションには録音機能があるので、帰ってきた信号をこれで録音してしまう。

analog2.jpg
dbx 162。
服部的には重要文化財級のステレオコンプ

analog1.jpg
本当はapi550を買おうとしていたのに、
比較用に預かった559にベタ惚れしてしまった

2台とも古い機材であり、私も万全のメンテナンスをしているわけではない。おまけにシリアル接続ということもあり、ノイジーはノイジーである。だがそれを上回る素晴らしい音質変化がある。前述の「収まりが悪い」曲は、各楽器の分離があまりにも良過ぎて、ミックスしてもミックスしても、なぜか一体感に欠けているように思えた。そこで162と559に通してみたところ、特にボトムエンドが美味い具合に滲んで、まるでビットの角が取れて滑らかな波形になったかのような極上の変化だった。同時に高音域を2db程度ブーストすることで、空気感のようなものも演出できた。どの曲にも有効な手段ではなく、ハマる曲とそうでない曲がある。そこもアナログっぽくて好きだ。

サンプリング音源で生ドラムシミュレーションをしているある曲も、やはり良い効果を得られた。複数の生楽器がいっせいに音を出すと、意識しきれない部分で音波がそれぞれの楽器音に良くも悪くも作用するのだ。それは必ずしも「単楽器の純粋な音」を収録する際には弊害となり得るが、実際のところ、「アンサンブルの豊かな響き」の正体はそれではないのか。そして音楽にはそういう響きが必要なのではないか。アナログプロセシング前と後の音を聴き比べて、そんなことをひしひしと思ってしまった。
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