2014.07.19 Sat
登山とミックスダウンは似ている
髙橋督から「Final」と称される最終テイクをトラックごとにバラバラに受け取り、それを改めてアレンジ画面に貼り付けていき、仮にかけていたEQやダイナミクスの類いを一旦全部OFFにし、フェーダーを全部下げる。
「ぃよ〜っし!ミックスするぞ〜!」となる瞬間である。私はこの瞬間がけっこう好きだ。ミュージシャン脳からエンジニア脳にスイッチする瞬間でもある。登山で言うと登山口で入山カードを書いている状態だ。ここから7合目くらいまでがツライ。登っている山道が正しく頂上に向かっているのか自信が持てないからだ。場合によってはふもと近くまで引き返すこともある。今回のプロジェクトで言えば、ドラム、ベース、ピアノ、ギターの4種の楽器が、きちんと居場所を見つけて棲み分けられていれば大方間違いない。
7合目より上は曲ごとの個別の事情で、つまり特定の楽器の特定のフレーズをもっと音量的に大きくしてあげるとか、ソロ以外の楽器の音量を少し下げるとか、そういう微調整。その作業は特に音楽的で楽しい。逆に言えば、前述の4種の楽器がきちんと整わないと、そういう音楽的な作業はできない。
さらに今回のプロジェクトではアナログ機材をどの場面で活用するか?という判断も混じってくる。ハマれば一気に曲に音楽的な深みが加わるので、この瞬間もたまらない。メインの楽器にかけているリヴァーブにどうも存在感が足りないな〜とモヤモヤするので、SONY R7(古のリヴァーブ専用機)に差し換えた瞬間、スカスカしていた空間をあまねく満たしてくれて、一気に7合目から9合目まで登れてしまうこともある。「計画・予想どおり」と「意外性」がちょうど良くバランスしてくれると作業は楽しく、そして速く進む。
でもこれって、そもそも曲が魅力的じゃないとこんなマジックは起こらない。髙橋督のプロジェクトはいろいろとラッキーだ。
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