暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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それはジャズだった:勝部彰太カルテットライヴ

勝部彰太カルテットのライヴを見てきた(聴いてきたんだけど、やっぱり現場にいたんだから見てきたってことで)。メンバーは勝部君のテナーサックスとEWI、ピアノが江浪純子さん、ウッドベースが勝本宜男さん、ドラムに行方基朗君。色々な意味で盤石なメンバーだけれど、勝部君のオリジナル曲を中心に演奏するという。どういう化学反応が起こるのか見てみたいと思った。Jazzinn Relaxin'にて。

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クルマなのでお子様用ジンジャーエール

ファーストステージはなんと4楽章の組曲を含んだ、たっぷりじっくり演奏するものだった。反対にセカンドはカバーとオリジナル半々くらいで、かつアレンジに工夫を凝らしたもの。とにかくオリジナル曲を演奏するライヴが嬉しくてたまらない。ジャズスタンダードを普通に演奏するライヴへのニーズが世の中にはあることは承知しているつもりだが、ライヴの現場に「その曲を演奏する意味」が立ち上っていないと、個人的には興味を持ちにくい。もちろんこの夜はわくわくして一瞬も気が抜けない演奏だった(だからそんなことを考えたと思うんだけどね)。

そして聴きながら「ジャズはどうしてジャズになるのだろう」と思う。抽象的過ぎる問いだ。そして甚だ個人的な感想でもある。言い換えると「どういう演奏をすればジャズになるのか」ということなのだ。自分はジャズミュージシャンではないと思っている(人がどう評価するかは知らないが)。どうやったらジャズが演奏できるのか考え続けているとも言える。つまり私の演奏はジャズでは無いのだ。だがこの夜のカルテットの演奏はずぶずぶにジャズだった。でも別に「枯葉」のようなベタなスタンダードを演奏していたわけではない。スタンダードナンバーを演奏しても新鮮なアイデアを注入しようと努力していた。それどころかオリジナル、本邦初公開というヤツである。ジャズかどうか、聴き手はまったく知らないのである。でもその時間が始まってみれば、実にジャズだった。自分にできないことを成し遂げる人たち!という感じで聴いていた。

客席の私の頭の中はそんなことがぐるぐると廻っていたのだけれど、実際は楽しくて楽しくて嬉しかった。思うに勝部君と他の3人はキャリアが違う。勝部君にとって(そして私にとって)ピアノ、ベース、ドラムの3人は大先輩である。その人たちを本気にさせるということが、まず勝部君素晴しい。難しいアレンジ、曲も多かった。でもまぁそれだけでは先輩も本気になってはくれまい。ラッキーなことである。

その3人の先輩方の演奏について書いても良いだろうか。書かせてください。恐れ多いけど。江浪さん、勝本さん、行方君のグルーヴが微妙に異なっていて、それが重層的な「バンドのグルーヴ」になっていたように思った。具体的には江浪さんと行方君は大きく波がうねるような押し引きのあるグルーヴ、そしてその中間、真ん中に勝本さんがグルーヴの錨(いかり)を降ろしているというイメージ。実際メンバーの並びも下手から江浪さん、勝本さん、行方君と並んでおり、音像ではなく、グルーヴのオートパンナーがかかっているような感じで、心地良いクラクラを感じることができた。こういうのって実際ライヴ会場にいないと実感できないものだ。しかもこの夜、ピアノとベースも全部生音だった(唯一電気拡声していたのは勝部君のEWIのみ)。贅沢なことである。

江浪さんのピアノで意外だったのは、江浪さんの演奏全体を左手が牽引しているような印象を受けたことだった。バッキングではあまり意識しなかったけど、アドリブになると左手が要所要所を締めている。終演後江浪さんに「江浪さんの左手ください!」とお願いしてしまった(笑)。江浪さんは「は?(きょとん)」だったけど。Relaxin'のマスターご夫婦にもご挨拶できて良かった良かった。ライヴスケジュールを見たらこの日の前日に及川が演奏していた。すまん。
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