2015.03.09 Mon
叩いて録る!しかも本人が(笑)
過日、ドラマー及川文和と自宅スタジオにおける機材選定の話をした。こういうのは「事例の数だけ正解がある」を正解としがちではないだろうか。ゼロからプランを組み立てて行くのは楽しいし、ニーズをピンポイントで満たすプランができそうな気がする反面、間違って不便なシステムになってしまった場合、どこまで戻って軌道修正をすれば良いのか判断に苦しむことが予想される。だが今回及川と意見交換することによって、スタジオの持つ「目的」と「操作実態」がわかっていれば、実は何パターンかに定型化できそうだと思った。定型化することで優先順位がはっきりし、カスタマイズの要点が明らかになる。結果的に作業が効率化したり、費用を抑えられたりできると思われる。
とは言うものの、定型化はそれなりに大変な作業だ(笑)。そもそも我々が考えるのは及川の自宅スタジオというピンポイント案件でもある。定型化は楽器屋さんなどにお任せするとして、及川スタジオに最適なプランとは何かを議論の末考えた。
今回のケースは「自宅リハーサルスタジオ、録音もできます」的なスタジオなのだが、ちゃんとブースとコントロールルーム(以下CR)が存在する。うらやましい。だがこの2ルーム構成がハードルにもなる。オーナーが演奏し、加えて機材の操作もするわけで、ブースからCRの機材をコントロールできなければならない。小アンサンブルの同時録音も視野に入れた及川は、オーディオインターフェイスにデジタルミキサーを選択するという。つまりブース内のドラムに向かいながらデジタルミキサーを操作し、かつDAWの録音スイッチを操作する必要があるわけだ。会合前からあれこれ意見を交わしてきたのだが、以下のようなアイデアが出た。
■デジタルミキサーのコントロール
デジタルミキサーの中には、iPad用のコントロールアプリ(無料)からフルコントロールが可能だという。ドラムを叩きながら、iPadからWiFi経由でゲインコントロールができるのだ。
■DAWをコントロールする
ブース側にMacBook Airなどを1台置いて、DAWホストMacを「画面共有する」という手法はどうだろう。これなら楽器に向いながらDAWの全機能にアクセス可能である。
特にDAWコントロールに関して、私が反射的に考えたのは、1台のDAWホストコンピュータのディスプレイとキーボード、マウスを分岐させてしまうプランだ。ディスプレイはミラーリング、キーボードやマウスはUSBケーブルを延長してしまえば良い(場合によってはリピーターが必要かもしれない)。オーディオインターフェイスのコントロールソフトウェア上でマイクゲインの調整を行う暁スタジオなど、この方法が一番確実で、しかも投資額も低くてすみそうだ。
今回のようにブースとCRに分かれている場合は、壁にバランスコネクタによるアナログ信号とUSBやイーサネットのデジタル系信号を併設したパッチ盤を埋め込んでおけばなお良い。業務スタジオっぽくて気分も上がろうというものだ(笑)。16ch分もあれば充分だろう。しかしこのプランにはお金がかかってしまう(想像するに本体工事に含めてしまえば、限りなく平滑化できるようにも思うが)。
今回文章にまとめた手法は既存技術の単なる組み合わせだが、このふたつのプランは便利この上ない。贅沢を言えば、デジタルミキサーのコントロールアプリがOS X上で走れば、iPadすら不要である。
それにしても贅沢な悩みであることよ。プラグイン音源でさまざまな楽器音を操れるようになった現代、下手な生録音よりもサンプリング音源の方がそれっぽい仕上がりにはなるかもしれないし、時間も圧倒的に圧縮できるかもしれない。しかし例え稚拙でも、生楽器が空気を震わせる瞬間を曲に活かす方が良い。それは音楽を、必然的にワンアンドオンリーなものにしてくれるからだ。
とは言うものの、定型化はそれなりに大変な作業だ(笑)。そもそも我々が考えるのは及川の自宅スタジオというピンポイント案件でもある。定型化は楽器屋さんなどにお任せするとして、及川スタジオに最適なプランとは何かを議論の末考えた。
今回のケースは「自宅リハーサルスタジオ、録音もできます」的なスタジオなのだが、ちゃんとブースとコントロールルーム(以下CR)が存在する。うらやましい。だがこの2ルーム構成がハードルにもなる。オーナーが演奏し、加えて機材の操作もするわけで、ブースからCRの機材をコントロールできなければならない。小アンサンブルの同時録音も視野に入れた及川は、オーディオインターフェイスにデジタルミキサーを選択するという。つまりブース内のドラムに向かいながらデジタルミキサーを操作し、かつDAWの録音スイッチを操作する必要があるわけだ。会合前からあれこれ意見を交わしてきたのだが、以下のようなアイデアが出た。
■デジタルミキサーのコントロール
デジタルミキサーの中には、iPad用のコントロールアプリ(無料)からフルコントロールが可能だという。ドラムを叩きながら、iPadからWiFi経由でゲインコントロールができるのだ。
■DAWをコントロールする
ブース側にMacBook Airなどを1台置いて、DAWホストMacを「画面共有する」という手法はどうだろう。これなら楽器に向いながらDAWの全機能にアクセス可能である。
特にDAWコントロールに関して、私が反射的に考えたのは、1台のDAWホストコンピュータのディスプレイとキーボード、マウスを分岐させてしまうプランだ。ディスプレイはミラーリング、キーボードやマウスはUSBケーブルを延長してしまえば良い(場合によってはリピーターが必要かもしれない)。オーディオインターフェイスのコントロールソフトウェア上でマイクゲインの調整を行う暁スタジオなど、この方法が一番確実で、しかも投資額も低くてすみそうだ。
今回のようにブースとCRに分かれている場合は、壁にバランスコネクタによるアナログ信号とUSBやイーサネットのデジタル系信号を併設したパッチ盤を埋め込んでおけばなお良い。業務スタジオっぽくて気分も上がろうというものだ(笑)。16ch分もあれば充分だろう。しかしこのプランにはお金がかかってしまう(想像するに本体工事に含めてしまえば、限りなく平滑化できるようにも思うが)。
今回文章にまとめた手法は既存技術の単なる組み合わせだが、このふたつのプランは便利この上ない。贅沢を言えば、デジタルミキサーのコントロールアプリがOS X上で走れば、iPadすら不要である。
それにしても贅沢な悩みであることよ。プラグイン音源でさまざまな楽器音を操れるようになった現代、下手な生録音よりもサンプリング音源の方がそれっぽい仕上がりにはなるかもしれないし、時間も圧倒的に圧縮できるかもしれない。しかし例え稚拙でも、生楽器が空気を震わせる瞬間を曲に活かす方が良い。それは音楽を、必然的にワンアンドオンリーなものにしてくれるからだ。
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