暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

ハイ・レゾリューション音源を歓迎する

私はデジタル音源データの高音質化に賛成である。いわゆるHigh-Resolition音源(以下HR音源)がどんどん普及すれば良いと思う2015年現在、HR音源はまだ一般的とは言えない。音源を売る側は「商機有り」と見て普及に躍起になっている。某レコード会社では全プロジェクトで96kHz/24bitで録音することを義務づけたという。2015年現在はCDフォーマット(44.1kHz/16bit)で売るとしても、将来はHR音源としてリリースする可能性を見込んでのことだ。

つまり2015年現在はHR音源普及における過渡期なわけで、真剣に高音質で収録・パッケージ化されたものから、明らかに無駄なゼロデータでビットを埋めたものまで、玉石混交である。私が考える理想のHR音源が生まれる条件とは「録音、ミックス、マスタリングのいずれかの過程に、アナログプロセシングが含まれていること」に尽きる。録音やミックスがアナログテープであるとか、ミックスの過程でアナログミキサーやエフェクタを使っているとか、デジタルへの変換が遅ければ遅いほどいいんじゃないかという(笑)。

今さらアナログメディアでの再生環境には戻れないとは思うが、先日ターンテーブル、アナログミキサー、パワードスピーカーという組み合わせでLPレコード(スパイロジャイラの「モーニングダンス(1979)」だぜ!)を聴く機会があり、その音の良さに改めて感動した次第。あの情報量をデジタルに落とし込むなら、やはり天井知らずに高解像度(つまりHigh Resolution)化しなければ無理だろう、と直感できるものだった。


そもそも「デジタルに落とし込む」という表現自体が、元の音からの取りこぼしがあることを示唆している。実は私のHR音源普及促進の真意を正直に書くなら、「もう圧縮音源の劣化音質は聴きたくない」に尽きるのである。かつてオープンリールテープを使っていた世代は、カセットテープの普及を苦々しく思いながら、やはり「あんな音の悪いテープで聴きたくない」と言ったのだろうか、とふと思う。劣化した音源を日常的に聴くようになって、初めてLPレコードの音質の良さに気付く私が偉そうに書けた義理ではないが。

劣化した音質で、それもイヤフォンでばかり音楽を聴いていて、音楽への、作り手への敬意を持てるだろうか。それともそんな事象を超越して人の心を掴むのが「良い音楽」なのだろうか。
スポンサーサイト

| 音楽雑感 | 08:32 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://acatsukistudio.blog60.fc2.com/tb.php/1109-ed0c8ce3

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT