2015.04.25 Sat
旅団Live・旅の記録20150424
旅団Live、無事に終了した。音楽関係者にも多数ご来場いただき、演奏する側としてはちょっとプレッシャーを感じつつも、しかし大変楽しい一夜になった。ご来場いただいたお客様とRelaxin'店主ご夫妻に感謝申し上げる。
旅団20150424
at Jazz Inn Relaxin'
及川文和(Dr)
森木啓太(Bs)
齋藤寛(Per)
服部暁典(Key)
ゲストトラベラー佐々木朋義(Gt)
旅団では基本的にオリジナル曲を演奏する。録音音源への評価、対価が揺らぐ昨今、ライヴ会場にわざわざ足を運んでくださるお客様に対してミュージシャンはどう応えるべきか。様々な価値感はあれど、我々は「ここでしか聴けない」という価値をどう提供するのか、が重要だと思う。その意味でオリジナル楽曲を演奏することは、多いに重要だと考える。例えばジャズライヴですよと言っても、実際「枯葉(Autumn Leaves)」を演奏された日にゃずっこけると思うのだ。いや、枯葉がダメなわけではない。ただ何万回と演奏されてきた(されている)スタンダード曲を2015年の今聴く価値のある演奏にするには、高い見識が求められるはずだ。オリジナル曲を演奏することはそれと同等のものが求められるという覚悟はある。
旅団では主に髙橋督と服部の曲を演奏しているが、この夜は督が欠席だったため思い切って督のレパートリーをあきらめ、かつて1990年代後半に「松澤社中」というバンドで演奏していた古い曲を持ち出してみた。かれこれ20年前のオリジナル曲である。曲は作ったら時々ちゃんと演奏してあげないといけない。仙台で音楽活動をする人間のクオリティを伝える意味でもそれは重要だ。音楽は繰り返し演奏(再生)されることで人びとに伝わっていくのだから。実際このメンバーで演奏してみたら今でもちゃんと通用するように思えた。当時がんばって曲を作っていた自分たちをほめてやりたい(笑)。
1st stage
1.Overjoyed
スティーヴィー・ワンダーの1986年の名曲。スティーヴィーの曲には音楽の魔法が多く見られる。きれいな曲だなぁなどと呑気に聴いていて、実際に弾いてみるととんでもなく高度なことや驚くべきひらめきが埋め込まれている。この曲は特に顕著だ。コーダ部分の転調はもはや宇宙である。
2.Et Ranger
服部暁典の曲。ボサノヴァやテンションコードがようやく身体に馴染んだ頃に「いっちょオレもバンドで演奏できるシャレオツな曲を作ってみっか」と思ったんだろうなぁ(笑)。1999年頃の作品。
3.Je T'aim
服部暁典の曲。たしかピアノを弾いていたらいつの間にか出来ていた、ような気がする。こういうアンニュイな曲調はそれ以降作れていない。偶然の最長不倒距離(今のところ)。これも1999年頃の作品。
4.Emotional
及川文和の曲。及川が作るのならキメがバリバリ入ったテクニカルな曲になるだろうと思っていたのに、こんなアダルトなミディアムインストになるとは…。及川の30歳頃の作品。30年で1曲なので、次のオリジナル曲は十数年後ということになる。刮目して待て!
5.哀愁の吉成
松澤直樹の曲。これも97〜99年頃に盛んに演奏していたオリジナル曲。今演奏しても発見がある難しい曲。この曲はどうしてもギターに演奏してほしくて朋義に声をかけたのだ。朋義のディストーションギターソロは本当にいい。いいとしか言いようがない。
2nd stage
6.Dr.Mucumba
アール・クルーの曲。がっちり熱く演奏しようと気負っていたのだが、本番の演奏はなぜか良い具合に脱力していて、曲が始まった瞬間に自分自身も解脱してとても気持ち良かった。思い込みって武器にも弱点にもなるのね、という気分。
7.ふわり
水沼慎一郎の曲。水沼は石巻出身の作曲家で、かつては旅団にゲスト参加したこともある。本来ピアノソロ曲であり、シンプルだが美しい曲。バンドでやってもその美しさが変わらないのはさすがの一言。
8.Best Regards
服部暁典の曲。「ジャズっぽい」とか「ブルージー」などと形容されたい、割りと最近の曲。あるお客様から「感謝の念がすごく伝わってくる(要約)」と感想をいただいた。曲はピアノを弾きながら作ったのだが、特定の誰かへ、ではなく、自分の死後、関わってくれた人びとに謝意が伝わりますように…という思いを込めてのタイトルなので、大変ありがたいお言葉。
9.7 Elements
鈴木雅光と服部暁典の共作曲。鈴木雅光は仙台の作曲家。彼の家で遊んでいる時に何か1曲作ってみようかということになり…。高校生の頃だろうか。変拍子に凝っていたんだね。お客様として来てくれたパーカッショニストにしてドラマー行方基朗から、「こんな変拍子で打楽器にソロを渡すなんてけしからん!」と叱られた。こんなことを言ってはいるが、もし彼とこの曲を演奏したなら、きっと素晴らしいソロを持ち込んでくれるだろう。ぜひやりたい。多分彼は「絶対イヤです!」と言うだろうけど(笑)。
10.Tight Rope
服部暁典の曲。コンピレーションアルバムに参加するにあたり、並み居る他の参加者と自分をどう差異化するか悩み、鍵盤ハーモニカでの演奏を前提に、作為的に哀愁を帯びた曲調とした。その割りには毎度演奏で苦労する。まさに綱渡りなのである。
オリジナルメンバーの佐久間康丞と髙橋督の都合がつかず、一時はピアノトリオ+パーカッションという編成でやろうかとも思っていた。だが自宅でピアノを弾きつつ試行錯誤してたら、ギタリストがイニシアティヴをとる曲が意外と多いという事実をひしひしと実感。「誰かギタリストはいないか?」と及川とふたりで悩んだ揚げ句、土壇場で(彼に声をかけたのはライヴの2週間くらい前だった)佐々木朋義を思い出し、声をかけた自分をほめてやりたい。彼は曲を身体に染み込ませて練って練って練った上で自分の音を楽曲に埋めてくる。だからリハーサルではさらっと曲を流して、あとは現場の瞬発力勝負みたいな旅団のアプローチスタイルは、彼にとっては異種格闘技のようなものだったろう。アウェイとも言える音楽の作り方の現場で、それでも存在感を示していたのはさすがの一言。
旅団の旅は続く。次回もお楽しみに。
at Jazz Inn Relaxin'
及川文和(Dr)
森木啓太(Bs)
齋藤寛(Per)
服部暁典(Key)
ゲストトラベラー佐々木朋義(Gt)
旅団では基本的にオリジナル曲を演奏する。録音音源への評価、対価が揺らぐ昨今、ライヴ会場にわざわざ足を運んでくださるお客様に対してミュージシャンはどう応えるべきか。様々な価値感はあれど、我々は「ここでしか聴けない」という価値をどう提供するのか、が重要だと思う。その意味でオリジナル楽曲を演奏することは、多いに重要だと考える。例えばジャズライヴですよと言っても、実際「枯葉(Autumn Leaves)」を演奏された日にゃずっこけると思うのだ。いや、枯葉がダメなわけではない。ただ何万回と演奏されてきた(されている)スタンダード曲を2015年の今聴く価値のある演奏にするには、高い見識が求められるはずだ。オリジナル曲を演奏することはそれと同等のものが求められるという覚悟はある。
旅団では主に髙橋督と服部の曲を演奏しているが、この夜は督が欠席だったため思い切って督のレパートリーをあきらめ、かつて1990年代後半に「松澤社中」というバンドで演奏していた古い曲を持ち出してみた。かれこれ20年前のオリジナル曲である。曲は作ったら時々ちゃんと演奏してあげないといけない。仙台で音楽活動をする人間のクオリティを伝える意味でもそれは重要だ。音楽は繰り返し演奏(再生)されることで人びとに伝わっていくのだから。実際このメンバーで演奏してみたら今でもちゃんと通用するように思えた。当時がんばって曲を作っていた自分たちをほめてやりたい(笑)。
1st stage
1.Overjoyed
スティーヴィー・ワンダーの1986年の名曲。スティーヴィーの曲には音楽の魔法が多く見られる。きれいな曲だなぁなどと呑気に聴いていて、実際に弾いてみるととんでもなく高度なことや驚くべきひらめきが埋め込まれている。この曲は特に顕著だ。コーダ部分の転調はもはや宇宙である。
2.Et Ranger
服部暁典の曲。ボサノヴァやテンションコードがようやく身体に馴染んだ頃に「いっちょオレもバンドで演奏できるシャレオツな曲を作ってみっか」と思ったんだろうなぁ(笑)。1999年頃の作品。
3.Je T'aim
服部暁典の曲。たしかピアノを弾いていたらいつの間にか出来ていた、ような気がする。こういうアンニュイな曲調はそれ以降作れていない。偶然の最長不倒距離(今のところ)。これも1999年頃の作品。
4.Emotional
及川文和の曲。及川が作るのならキメがバリバリ入ったテクニカルな曲になるだろうと思っていたのに、こんなアダルトなミディアムインストになるとは…。及川の30歳頃の作品。30年で1曲なので、次のオリジナル曲は十数年後ということになる。刮目して待て!
5.哀愁の吉成
松澤直樹の曲。これも97〜99年頃に盛んに演奏していたオリジナル曲。今演奏しても発見がある難しい曲。この曲はどうしてもギターに演奏してほしくて朋義に声をかけたのだ。朋義のディストーションギターソロは本当にいい。いいとしか言いようがない。
2nd stage
6.Dr.Mucumba
アール・クルーの曲。がっちり熱く演奏しようと気負っていたのだが、本番の演奏はなぜか良い具合に脱力していて、曲が始まった瞬間に自分自身も解脱してとても気持ち良かった。思い込みって武器にも弱点にもなるのね、という気分。
7.ふわり
水沼慎一郎の曲。水沼は石巻出身の作曲家で、かつては旅団にゲスト参加したこともある。本来ピアノソロ曲であり、シンプルだが美しい曲。バンドでやってもその美しさが変わらないのはさすがの一言。
8.Best Regards
服部暁典の曲。「ジャズっぽい」とか「ブルージー」などと形容されたい、割りと最近の曲。あるお客様から「感謝の念がすごく伝わってくる(要約)」と感想をいただいた。曲はピアノを弾きながら作ったのだが、特定の誰かへ、ではなく、自分の死後、関わってくれた人びとに謝意が伝わりますように…という思いを込めてのタイトルなので、大変ありがたいお言葉。
9.7 Elements
鈴木雅光と服部暁典の共作曲。鈴木雅光は仙台の作曲家。彼の家で遊んでいる時に何か1曲作ってみようかということになり…。高校生の頃だろうか。変拍子に凝っていたんだね。お客様として来てくれたパーカッショニストにしてドラマー行方基朗から、「こんな変拍子で打楽器にソロを渡すなんてけしからん!」と叱られた。こんなことを言ってはいるが、もし彼とこの曲を演奏したなら、きっと素晴らしいソロを持ち込んでくれるだろう。ぜひやりたい。多分彼は「絶対イヤです!」と言うだろうけど(笑)。
10.Tight Rope
服部暁典の曲。コンピレーションアルバムに参加するにあたり、並み居る他の参加者と自分をどう差異化するか悩み、鍵盤ハーモニカでの演奏を前提に、作為的に哀愁を帯びた曲調とした。その割りには毎度演奏で苦労する。まさに綱渡りなのである。
オリジナルメンバーの佐久間康丞と髙橋督の都合がつかず、一時はピアノトリオ+パーカッションという編成でやろうかとも思っていた。だが自宅でピアノを弾きつつ試行錯誤してたら、ギタリストがイニシアティヴをとる曲が意外と多いという事実をひしひしと実感。「誰かギタリストはいないか?」と及川とふたりで悩んだ揚げ句、土壇場で(彼に声をかけたのはライヴの2週間くらい前だった)佐々木朋義を思い出し、声をかけた自分をほめてやりたい。彼は曲を身体に染み込ませて練って練って練った上で自分の音を楽曲に埋めてくる。だからリハーサルではさらっと曲を流して、あとは現場の瞬発力勝負みたいな旅団のアプローチスタイルは、彼にとっては異種格闘技のようなものだったろう。アウェイとも言える音楽の作り方の現場で、それでも存在感を示していたのはさすがの一言。
旅団の旅は続く。次回もお楽しみに。
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| ライヴ | 22:53 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑