暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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PreSonus・Studio One(のデモ版)を使ってみた

小説家がおいそれと筆記用具を替えないように、電子音楽を作る人間も、その道具たるDAWを安易に替えたりしないだろう。私がDAWにLogicProを使っているのは、コンピュータとOSとDAWをひとつの会社(つまりApple)が作っているからだ。作業中に音が出なくなるとか、コントロールを受け付けなくなるとか、些細なトラブルもとにかく御免被りたい。MacOSがまだ一桁代だった頃は、誰もが工夫して「余計な機能拡張をインストールしない」を実践していて、うまくいけば大変安定したシステムを作ることができた。OS X時代に入ってからはそういうことを気にしなくなったが、私のように音楽用システムのメインテナンスには気を使う人は多いだろう。

studioone1.jpg


実際のところApple教に入信し、LogicProを使っていればありとあらゆるトラブルから解放されるのかと問われれば、残念ながらそうではないと答えるしかない。左様、LogicProだって何かのきっかけで不意に強制終了することがある。滅多にないことではあるが、そういう場面に遭遇すればやはりこちらの信心も薄れるというものだ。私は事あるごとにDAWの選択肢を増やそうとしてきた。かと言ってかつて使ってきたCubaseに戻るのもシャクだし、Visionユーザーだった頃の名残でDigital Performerにも食指は動かない。スタンダードとなって久しいProtoolsとの二者択一かとも思うが、安易に大衆に阿る(おもねる)ようで、それも面白くない。

そんな折り、PreSonusのStudio OneというDAWの存在を知った。音響ハードウェアメーカーからまさかDAWリリースとは。いや、かつてはミキサーメーカーのMACKIE.もTRACKtionというDAWをリリースしていたが、鳴かず飛ばずであったなぁ…。Studio Oneも同じ運命かと思いきや、すでにヴァージョンも3であるようだ。それなりにユーザーがいると見て間違いなかろう。フルスペック版で3万円台半ばなのだが、無料のデモ版もある。今回このVer.3のデモ版をインストールしてみた。

インストールは確かに無料だが、PreSonus社の独自アカウントを作らねばならない。情報は提供しなければならないのである。最低限の情報を入力してアカウントを開設すると、無事にインストーラーをDLできる。GUIは黒を基調にした(要はLogicPro Xに似ている)カッコいいもの。全体的な画面設計はLogicに近く、アレンジメントウィンドウを基調にして必要に応じてノートエディターやプラグイン音源のエディター、ミキサーなどが画面内画面として現れる。

studioone4.jpg
Logicよりも数段使いやすい環境設定


studioone3.jpg
この同梱プラグイン「Multi Synth」(まんまやん…)は強力!
通常のアナログモデリングシンセを並列させモジュール的に発音できる。
YAMAHA TX816の現代版ってところ(例えが古い)


Logicで言うところのエンバイロンメント設定はずいぶんシンプルで、「AudioMIDI設定」での設定が完了していれば、Studio One側ではせいぜい入力機器(当スタジオの場合はMIDIマスター鍵盤のYAMAHA S90XSとリズム入力用コントローラーKORG padKONTROL)を登録してやるだけで良い。全くの空ソングから作業を始めてみたので最初こそかなり戸惑ったが、一度ルールを覚えてしまえばあまり苦にならない。DAWというジャンルもそこそこ開発され尽くされてきているのだろう。まだ1/10くらいしか使っていない段階で「こりゃいいな」と思ったのは、ループファイルをオーディオトラックに貼り付け、さらに他のループファイルを選ぶ際、ソングを再生するとループファイルブラウザで指定したファイルもシンクロして再生されることだ。ソングを走らせながら次々クリックするだけであれとこれを同時に再生するとどう聴こえるかを、試聴しながらファイルを選べるのである。例えばキックだけのループファイルをまずトラックに貼り付け、ハイハットのループを次々切り替えて試聴できるのは、非常に効率が良い。

studioone2.jpg
右側にループブラウザが配置されるのはLogicも同じだが、
再生しながらサンプルを次々切り替えて試聴できるのは便利。
しかしいまのところソングのループ再生のさせかたがわからない(笑)

肝心の音だが、ハイもローもたっぷりあって、実に今どきの音である。プラグイン音源も操作性、出音とも弾いていて実に楽しい(デモ版なのでプリセット音色数などに制限はあるが)。

結果的にDAWの出音とはコンピュータに接続したオーディオインターフェイスの性能やクロック精度、電源の質などに大きく左右されるのだが、それらの要素と同じようにDAWそのもののアルゴリズムも大きな影響力を持っていると思う。その意味では、さすが後発、抜かりないな、というのが最初の感想である。もうちょっと使い込んでみたい。
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