暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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Addictive Drums2用拡張音源"Modern Jazz Brushes"が素晴しかった

デジタルサンプラーは登場以来(それはいつだ?何を以て登場とするんだ??という意見はさておき)どんどん高性能化と低価格化が進み、その究極の姿が現在のソフトウェアサンプラーであり応用発展系がDAWだと私は認識している。ソフトウェアサンプラーの大部分はもはや「サンプラー」とは名乗らず、「プラグイン音源」、つまりプレイバックサンプラーとして猛威を奮っている。価格で200万円を超えるイミュレーター(米国E-mu社が1980年にリリースしたキーボード型サンプラー)にため息をついていたおっさんの私からすると、現代の超絶便利なあれこれを30年前の自分に教えてドヤ顔を見せたいくらいだ。

そんなプレイバックサンプラーの代表格がプラグインドラム音源である。私が愛用するプラグインドラム音源Addictive Drums2(以下AD2)用の拡張音源「Modern Jazz Brushes」を導入してみた。自分にとってかなり嬉しいものだったのでここに紹介してみる。

mjb2.jpg


そもそもそのAD2だが、ドラマー目線ではなくエンジニア目線のドラム音源であることが一番の特徴だと思っている。初代から一環して画面設計、取り分け音作りに関する画面がまるっきりラージコンソール(もっと言うとSSL Gシリーズなど)の機能と信号経路そのままなのだ。音色傾向はロック寄りなので実は私のようなフュージョン系の音楽をやろうと思うと一工夫必要だが、そんなところも生ドラムっぽくて気に入っている。以前リリース元のXLN Audio社がユーザーにアンケートをとったことがあった。その中に「今後どんな拡張音源があると良いか」という項目があり、英語が不得意な自分ですらその項目には「Brush sample for jazz」と書かずにはいられなかった。後日実際に「Modern Jazz Brushes」が発売になった時には嬉しかったねぇ(笑)。もっとも今回の購入までにはずいぶん時間が経ってしまっていたけれど。

mjb1.jpg
中段、左から右への信号の流れはSSLコンソールのチャンネルを彷彿とさせる

さてそのブラシ音源、やはり芸が細かくてニヤリである。収録サンプルのきめが細かいのはAD2に限った話ではないと思うが(でないとRolandのTDシリーズに対抗できない)、スネアのサンプルは右手と左手のそれぞれのヒットサンプルがあり、左右どちらもpp〜ffの音色変化が自然でプログラミングにも俄然力が入る。驚いたのはブラシによるスネアのレガート(って言うの?)、つまりブラシ演奏のブラシ演奏たる「ざー」とか「さー」というアレも、ちゃんとアタックの感触が異なるサンプル、擦る部分(皮の真ん中寄りかエッヂ寄りか)の違うサンプルが別々に収録されていることだ。タムやキックなどのスネア以外の皮モノのヒットサンプルも素晴らしいが、シンバル類のブラシヒットサンプルが特に嬉しい。これまでPCMシンセなどに皮モノのブラシヒットは収録されていたことはあったが、ブラシで叩いたクラッシュやライドシンバル類はなかなか手に入らなかった。

ある自作曲でブラシサンプルを使った曲がある。すでにクローズドな環境で発表もしたのだが、どうにもブラシドラムがいまひとつ…との思いが拭えず。現在制作を進めている自分の新しいアルバムに収録するにあたってドラムはリプログラミングしようと狙っていた。ようやく満足行く音源が手に入ったのでさっそくチャレンジしてみた。

すると思ったよりも難しい。本物っぽく聴かせるには「ドラムのブラシ演奏」を理解している必要があることを痛感。いや、サンプラーで生楽器のシミュレーションをするにはどんな楽器であれ発音の理屈や奏法を理解している必要があるのだ。ドラム演奏に関しては人並みに理解しているつもりでいたが、ブラシ演奏はそもそも体得していない。かつて挑戦したことはあったけど、何が何やらだった(笑)。

もっともこれはプログラミングのスキルの話である。修業を積めということだ。このようにドラムデータの打ち込みに煮詰まると、私は誰か上手いドラマーが実際に叩いている姿をイメージしながら行う。自分が叩いてる(目の前に太鼓やシンバル類が並んでいる)絵は想像できないのだ。こんな点でもAD2が自分にフィットしていると思わずにいられない。AD2の画面でキットを呼び出すと、正面からドラムセットを見ている絵が出てくる。例えば有名なドラム音源であるEZ DrummerやBFDではその反対だ。「ドラマーから見たドラムセット」が画面の中に描かれる。この辺に音源の設計思想の違いだからどちらが優れているというような比較にはならないが、録音対象としてドラムを見ている自分にはAD2の方が抵抗なく世界に入っていけるのである。

bfdsample.jpg 
これはBFD2の画面サンプル。
ドラマー目線な画面設計

次に拡張音源を導入するとしたら「Session Percussion」だろう。あとハンドクラップかなぁ。
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