暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

復活!KORG POLY-61

30年前のシンセサイザー、KORG POLY-61を物置から引っ張り出してきた。壊れているんじゃないか…と恐る恐る弾いてみたらそんなことはなく、むしろものすごく良かった。記憶以上に音が太く、これなら適当にコンプレッサーでツブしてやれば、デジタルシンセと対等に張り合えるんじゃないかと期待させるだけの音圧を感じたのである。

p61 - 3


p61 - 1

このPOLY-61は私にとって人生初めての所有シンセである。高校の入学祝いに祖母から買ってもらったものだ。小学校5年生でYMO中毒になり、ずっとずっとシンセサイザーが欲しくて欲しくてたまらなかった。そんな高校生に初めてのMy シンセとなればまさに没入、寝食を忘れて弾き続け、カセットテープによるピンポン録音(多重録音の一種よ?若い人には説明してもわからんかも)の自作曲作りも飛躍的にクオリティが上がった。今聴いたら大爆笑ものだけど。シンプル過ぎるエディットパラメーターのため、目をつぶっていてもエディットできてしまうくらい使い込んだものだ。その後様々なシンセを買い増すにつれて弾く頻度は下がって行ったが(だって音色のバリエーションが少ないんだもん)、常に通電し弾ける状態にしていた。

p61 - 2

だが経年劣化は避けられない。いつのことだったか正確には思い出せないが、ある日異常が発生した。6音ポリのはずがなぜか5音ポリになり、しかも途切れる音がランダムに変わるのだ。KORGに問い合わせると発音制御している部品がダメになったのだろうとの見立て。じゃあ直してくれと頼んだが、すでに交換部品が製造中止であり修理不可能と言う。そこで私は正直に言った。「高校の入学祝いに買ってもらった人生最初のシンセで一生手放すつもりはない。何とかならないか?」懇願である。鬼懇願である。こちらの気迫に気圧されたか、KORGの担当者は「部品の後継機種は出ているからそれと交換することはできる。でも多分音が変わってしまうと思う」と宣ったのだった。弾けない状態よりもナンボかマシと思い修理を依頼、無事に返ってきたPOLY-61を弾いて驚いた。

音質が変わってしまっていたのである。

やたらとギラギラした音になり、何よりも中域の豊かな響きが失われていた。KORG担当者の言っていたことは本当だったのだ…。せっかく修理から戻ってきたのに弾きたいと思える音ではなくなっていた。具体的に交換した部品がなんだったのかわからないが(詳しい方教えてください)、発音制御の部品なのに音が変わるなんて…。無理やり例えるなら、上京した幼なじみの女の子と久しぶりに会ったら突然キャバ嬢みたいなどぎついメイクに変わってしまったようながっかり感であった(むしろ喜ぶ男もいるかもしれないが)。そんな経緯で私が欲しいキャラクターではなくなってしまったPOLY-61は長い時間我が家の物置で眠っていた。

今自分の頭の中で鳴っているある曲で、いかにもシンセベースな音色が欲しくなった。未だ健在なRoland JUNO-106はシンセベースに使っても最高なのだが、懐かしいPOLY-61にずばり欲しい音がプログラムされていることを思い出した。74番の音色である(笑)。そこでこのエントリーの冒頭に戻るわけだ。

修理完了当時あれほどがっかりした音質変化だが、今回の再起動ではまったく感じられなかった。理由はふたつ考えられる。

1.デジタル耳
やたらドンシャリ傾向なデジタルシンセの音ばかり聴き続けたせいで、ギラギラとどぎついPOLY-61の音質が普通に聴こえるようになってしまったのではないか。

2.ヘタリ疑惑
下手をすると10年くらい通電していなかったキャバ嬢。部品がいい具合に劣化してまろやかな熟成音質になったのではないか。

でき得れば1.であってほしい(だって2.の理由だともっと劣化したら今度こそ使えなくなるかもしれない)。だがひとまずそんな心配は置いておいて、この見た目も音色も最高にプラスティッキーな80年代シンセを弾き倒そうではないか。

p61 - 4
スポンサーサイト

| 機材 | 22:03 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://acatsukistudio.blog60.fc2.com/tb.php/1138-04b3b9fb

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT