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暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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【試奏記】YAMAHA reface CP

仙台における電子鍵盤楽器パラダイスのひとつ、島村楽器仙台E-Beans店でヘンタイ系シンセをまとめて試奏してきた。試奏した順番に試奏記をエントリーしているのだが、前回のProphet 6に続き、今回はYAMAHAのrefaceである。すでにご存知の方が多いと思うが、refaceは以下のラインナップを揃えるシリーズである。

reface CP(エレピ音源)
reface CS(ヴァーチャルアナログ音源)
reface DX(FM音源)
reface YC(オルガン音源)

Rolandの「昔の名前で出ています攻撃」を端から見ていられなくなったのか、見事なまでに昔の名前で出てきた。しかも4つ同時にリリース。しかも新開発のミニ鍵盤筐体。とにかく弾いた人は大絶賛の嵐だが、個人的にはまったく興味を持てないジャンルの製品である。今回の試奏もたまたまProphet 6の上に置いてあったから、惰性で手を伸ばしてみたに過ぎない。で、どうだったのか。驚きの結果だった。

refacecp.jpg


この日のまとめ試奏の他のレポートは以下のとおり。
【試奏記】Roland JD-XA
【試奏記】studiologic Sledge2.0
【試奏記】Dave Smith Instruments Prophet 6
【試奏記】KORG KRONOS(new)


例によって本エントリーに記録したレポートでは、基本的に足下に置かれたキーボードアンプにモノラル接続された状態で試奏した。ヘッドフォンやスタジオモニターでじっくり腰を据えて聞き取ったわけではないことを、ご了承いただきたい。

前述したとおり、たまたま目に付いたので「あぁ、これか」程度の興味で弾いてみたのだった。なぜ興味を持てなかったかというと、ライヴのメイン鍵盤になり得ないからだ。例えどんなに音が良くても、ステージ上でリアルタイム演奏できないのでは鍵盤楽器としては片手落ち…というのが、保守的鍵盤奏者たる私の評価だった。

というわけでreface CP、完全になめきってポロンと音を出してみて驚愕。ものすごい高音質なのである。DAにはよほど気を使ったと見られるが、果たしてそれだけだろうか。はっきり言って私のメイン鍵盤、同社のS90XSよりもエッヂの立った密度の高い音なのである。繰り返すが、コロガシのキーボードアンプで鳴らしているのである。

新開発されたというミニ鍵盤のヴェロシティカーブは実に自然で、reface単体で弾く分には充分気持ち良く弾ける。運指も自然に行える。極薄のタッチストロークにも関わらずである。実際グランドピアノの上にちょこんとrefaceシリーズを置いてライヴをこなす…、なんてことは考えたくないが、信頼できる鍵盤を搭載したアナログシンセ(61鍵盤以上)のスレーヴとして準備しておけば最強かもしれない。最近知り合うことができた山本泰照さんという鍵盤奏者がさっそくライヴに投入しているのをフェイスブックでお見かけした。あまりのダイナミックレンジの広さにPA側でコンプレッサーをかけてもらったとのこと。それも納得。これはS90XSを持っている私ですら買ってもいいと思う。

studiologic Sledge2.0の出力端子群の画像キャプションにも書いたが、昨今の電子鍵盤楽器はソフトウェアだけでなく、筐体設計もデスクトップ環境との親和性を高める方向にあるようだ。音源レスMIDIコントローラーが続々リリースされる現状から考えても、DAWと最低限の入力装置とてして小さな電子鍵盤はニーズが高まっているのだろう。ステージ重視で「弾き心地の良い鍵盤ありき」などと言っている鍵盤奏者はもはや少数なのかもしれない。それでも90年代ならラックマウントできる音源が百花繚乱だったが、もはやラックマウントというセッティング方法自体が古びている。もっと軽やかな筐体デザインでないと売れないのだろう。それでいて高音質化にぬかりないのであれば、これはこれで2016年の電子楽器として実に的を得た設計のように思えてくる。refaceは小さい筐体を逆手にとって、操作子も最小限に押さえてある。あれこれイジリ様のないところまでシンプルにして、とにかく弾くことに集中させようとしているように思える。やはりそこは楽器屋さんのこだわりを感じる部分である。

あまりのできの良さに驚いてCPしか弾かなかったが、その他の3台の音を聴くのが怖い。1台45,000円。4台で180,000円。1台買うと他のも買いたくなる自分がありありと想像できる。
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