2016.05.10 Tue
プリンスのいない世界
2016年4月21日、プリンスがこの世からいなくなった。私にとってプリンスは神であり、お手本であり、憧れであり…。うまく文章にできないが、私が音楽を作ろうとするその精神の、骨格を担っていたと言えると思う。
プリンスについてあれこれと賛辞を並べることは可能だが、今は何を言ってもうすら寒い思いがある。どんな言葉を持ってきても、的確にプリンスを褒めることなどできない。あのニュースに触れて以来、ずぅっとそんなことを考えてばかりで、音楽を作ることもできなくなったし、このブログのエントリーも、この文章を書かなければ次の何かを書き始められないように思えて、放置してしまった。
哀しいことだ。だがプリンスと私の(そして世界中のファンの)関係は、「個対個」だった。例え何万人もいるアリーナの客席にいたとしても、ステージ上のプリンスと自分の関係は個同士の結びつきだった。ましてや音源との対峙ならなおさらだ。だからこの哀しみを、例えどれだけ愛していようとも、誰か他人と共有することができなかった(これはもっぱら私の個人的な考えで、世界中のファンはその哀しみを共有しようと努力したし、今もしている)。
そんなわけで辛い気持ちが堆積するばかりだったが、時間が経つにつれて状況を少し俯瞰して考えられるようになってきた。死因はこのテキストを打っている現時点(エントリーのアップとほぼ同時刻と思ってくれていい)で、未だ明らかになっていない。だが私はそのことにはあまり興味がない。ただ4月21日のその瞬間まで、彼は音楽のことを考えていたようだ。あるニュースソースに拠れば、プリンスの実妹タイカ・ネルソンの夫モーリス・フィリップスが、自宅エレベーターの中で死亡しているところを確認される前、プリンスは154時間もの間睡眠を取っていなかったという発言をしている。おそらくずぅっとレコーディングに没頭していたのだろう。そして「さって、続きを録るか」くらいの感じでスタジオに向かうためエレベータに乗ったのだろう。
私がこれまでに一番恐れていたのは、プリンスの創作意欲が低下して、3年とか5年にようやく1枚のアルバムをリリース。しかも中身はスカスカという事態だった。しかしプリンスは音楽創作のさ中に突如糸が切れたように逝った。無論本人にしてみれば納得できることではないだろうが、創作の最前線で、しかも前のめりの体勢で亡くなった。最後まで尊敬できるプリンスのままだったことに対しては、感謝したい。いや、「安堵した」というのが正直な気持ちだが。
プリンスから発せられる音、エネルギー、絵、それら何もかもが今後はすべて過去形になってしまう。もう新しいプリンスの音楽は生まれない。そのことを考えると慄然とするばかりだ。私はこれからもっともっとたくさんの時間をかけて、「プリンスがいない世界」を身体に染み込ませなければならない。明かりも地図もない、そして前を歩んでくれる人の背中も見えない。この恐怖をどう消化すればいいのか、まだわからない。
哀しいことだ。だがプリンスと私の(そして世界中のファンの)関係は、「個対個」だった。例え何万人もいるアリーナの客席にいたとしても、ステージ上のプリンスと自分の関係は個同士の結びつきだった。ましてや音源との対峙ならなおさらだ。だからこの哀しみを、例えどれだけ愛していようとも、誰か他人と共有することができなかった(これはもっぱら私の個人的な考えで、世界中のファンはその哀しみを共有しようと努力したし、今もしている)。
そんなわけで辛い気持ちが堆積するばかりだったが、時間が経つにつれて状況を少し俯瞰して考えられるようになってきた。死因はこのテキストを打っている現時点(エントリーのアップとほぼ同時刻と思ってくれていい)で、未だ明らかになっていない。だが私はそのことにはあまり興味がない。ただ4月21日のその瞬間まで、彼は音楽のことを考えていたようだ。あるニュースソースに拠れば、プリンスの実妹タイカ・ネルソンの夫モーリス・フィリップスが、自宅エレベーターの中で死亡しているところを確認される前、プリンスは154時間もの間睡眠を取っていなかったという発言をしている。おそらくずぅっとレコーディングに没頭していたのだろう。そして「さって、続きを録るか」くらいの感じでスタジオに向かうためエレベータに乗ったのだろう。
私がこれまでに一番恐れていたのは、プリンスの創作意欲が低下して、3年とか5年にようやく1枚のアルバムをリリース。しかも中身はスカスカという事態だった。しかしプリンスは音楽創作のさ中に突如糸が切れたように逝った。無論本人にしてみれば納得できることではないだろうが、創作の最前線で、しかも前のめりの体勢で亡くなった。最後まで尊敬できるプリンスのままだったことに対しては、感謝したい。いや、「安堵した」というのが正直な気持ちだが。
プリンスから発せられる音、エネルギー、絵、それら何もかもが今後はすべて過去形になってしまう。もう新しいプリンスの音楽は生まれない。そのことを考えると慄然とするばかりだ。私はこれからもっともっとたくさんの時間をかけて、「プリンスがいない世界」を身体に染み込ませなければならない。明かりも地図もない、そして前を歩んでくれる人の背中も見えない。この恐怖をどう消化すればいいのか、まだわからない。
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全く同感です
なんていうか、本当に言葉にならないですよね。全く同感なだけに、ご心境お察しします。最近、ずっとPrinceばかり聞いています。それくらいしか言葉になりません。
| 松野克彦 | 2016/05/10 23:43 | URL |