暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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レビュー:waves SSL 4000 Collection

DAW用のプラグインエフェクターを、先日初めて購入した。プラグイン音源は購入した経験はあるが、エフェクターは初である。購入したのはwavesというブランドの「SSL 4000 bundle」というもので、チャンネルストリップ2種、コンプ、EQである。ずいぶんあっさりしてるなと思われる方もいると思うが、これがSSLというレコーディング用コンソールメーカーの代表的機種をエミュレートしたもの…とくれば、意味の重さが全然変わってくる。このバンドルを導入して以来、特にドラムの音作りがすごく速くなった。体感では倍速と言える。望みの音に最短で近づくことができるようになった。各プラグインそれぞれの魅力を解説してみたい。

ssl4000.jpg


私はそれなりにSSL(Solid State Logicという英国の会社)のGシリーズコンソールを使ったことがある。特にチャンネルストリップのコンプレッサーの音質変化も含めた明快な効き具合や、同じくEQの鋭利な刃物のような効き具合はある程度身体で理解しているつもりだ。24chで5,000万円(だいたいね、だいたい)という業務用レコーディングコンソールを毎日使うことが出来た日々はまさに夢のようであったが、当のSSL、そのSSLという会社を象徴するレコーディング用ラージコンソールそのものが、Protoolsに代表されるソフトウェアレコーディングソリューションの台頭によってメインストリームから遠ざかって久しい。大きなコントロールルームに億近い値段のミキサーを導入しなくても、DAWを使って半分以下のスペース、1/10の投資で同じような結果を得られるとしたら、誰だってコンパクトで安い方を選ぶ。同時にこれまでそういう投資ができなかった人・会社も業務レベルのレコーディング環境が整えられるとも言い換えられる。

だがSSLのレガシープロダクツが役立たずになったわけではない。現物の音質そのものや隅々まで考えられた操作性や柔軟なルーティンは現場で大きな力になるし、ツマミやフェーダーを身体的に操作する「行為」は決してレコーディングやミックスダウンを非効率的にするものでもない。物理的な効率のことを考えればDAWに太刀打ちできないが、身体(主に指先だけど)を動かした結果、モニターから流れ出る音に有機的な変化が起きるという一連のフローは、レコーディング作業の醍醐味であると思っている。

他ならぬ今回紹介するようなエミュレーションソフトウェアが、本物のSSLを窮地に追いやっているというパラドックスはあれど、SSLの操作感や音質が自室のMacの画面で再現されるのは本当に便利だ。もちろんSSLの他にNeveやAPIといったコンソールメーカーのエミュレーションプラグインもあるし、数多ある伝説的エフェクターのそれらもある。私はそれらに懐疑的だったのだが、今回のSSL 4000 Bundleの実力を思い知り、180度考えが変わってしまった。思った通りの結果(それは多くの商業音源で聴き慣れた音だ)に最速で辿り着けるのが素晴らしい。

●SSL G & E Strip

SSL_chStripG.jpg
G

SSL_chStripE.jpg

E


GシリーズとEシリーズのチャンネルストリップ(ミキサーの1ch分)をそのまま取り出したプラグイン。ダイナミクス(コンプ/ゲート/エキスパンダー)、フィルターとEQ、ボリューム調整が盛り込まれている。特にGのEQセクションに搭載された「×3」スイッチは慣れると手放せない。これはパラメトリックイコライザーの中の、通常MHFとして機能しているパートの作用周波数を3倍高い周波数域にシフトする機能である(同様にMLFの「÷3」は1/3の周波数域へシフトする)。15kHz以上の高音域は、シンバル類などの金物の空気感を増減できる。ピアノや鉄弦ギターなどにもメガヒットで作用する。

コンプレッサーなどのダイナミクス系も単体で充分使いたくなる効き具合で、どちらかというといい気になって掛け過ぎないように注意が必要なレベルだ。最低限の音質変化で「これぞコンプレッサー!」な効果が得られる。またダイナミクス系とEQは信号のルーティンを入れ替えることができる。

肝心のGとEの効果の違いを詳細に解説はできないが、主にEQの効果の違いではないかと思う。筆者はGに慣れ親しんだので主にGを使うが、1曲の中でキャラクターを分けたい音源がある場合(例えばキックドラムとベースなど)は分けたい対象にEを挿す。

●SSL comp
SSLコンソールのマスターセクションに搭載されていたコンプレッサーのエミュレート。操作子やパラメータはざっくりしているが、逆にそのシンプルさが使い良い。「多くのヒット曲がこのコンプレッサーを通して生まれた」的な宣伝文句をあちこちで見かけるが、これは誇大広告でもなんでもなく、恐らく事実だ。それは自分の作品の最終段にこのコンプを挿して、効果を深めていけばわかる。

SSL_comp.jpg 

●SSL EQ
Gシリーズチャンネルストリップから、さらにEQセクションだけ抜き出したエミュレートプラグイン。とにかく効くEQが欲しい!時に便利だ。筆者の実感として、EQという機械は「原音忠実系」か「あくまでイメージに近づける飛び道具系」のふたつに大別できると思っているが、このEQは後者だと思う。収録した音源に倍音が多ければ多いほど効きが良いのは優れたEQが共通して持つ資質だが、SSLのチャンネルストリップに搭載されたEQは、狙った周波数「だけ」をジェントルにいじるのではなく、広めのQでぐいぐい増減するやり方が正攻法ではないか。エンジニアやプロデューサーの頭の中で鳴っている音に「イコライズ」するための道具が欲しい場合は、API 550や559と並んで、まさに多くのエンジニアにとってのファーストコールEQである。

SSL_EQ.jpg 
ざっくりとした解説だが、魅力はおわかりいただけたと思う。wavesのこのプラグイン群には、コンプ以外には全部「アナログ」という本家には無いスイッチが備わっていて、アナログ回路の特性までエミュレートしてくれる。通常これをONにしておけば、SSL感はより高まる(笑)が、あまり色を着けたくない素材もあろう。思った通り、このバンドルを導入して以来、ありとあらゆるチャンネルのスロットにSSLが挿入されるようになり、音質がわざとらしくSSL臭くなってしまう。それを避けるにもアナログスイッチのON/OFFは吟味した方が良いだろう。

※イメージ画像はすべてステレオバージョンのもの。もちろんモノラルバージョンも同梱されており、インサートするチャンネルによって選ぶことができる
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