暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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橋元服部二人会其之二、終了

2017年2月8日、橋元服部二人会を開催した。Livehouse enn 3rdにて。今回は本当にその名のとおり服部とちゃんもつさんのふたりだけの演奏会とした。

橋元服部二人会 其ノ二
2017年2月8日 開場19:00 開演19:30〜
LIVEHOUSE enn3rd
¥2,000(1D別¥500)

【出演】
⚫︎服部暁典「いろどり/うつろい」
服部暁典(Syn.+KeyHarmonica)、後藤浩輝(Visual)

⚫︎橋元成朋「生誕50周年記念ちゃんもつ大博覧会プレ演奏」
橋元成朋 (Key.)、小澤牧子 (Vl.)、大光ワタル (Dr.)、Other…

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とは言ってもご覧のとおり、ガチでソロふたりということではなく、ふたりそれぞれに責任を持つパートがふたつ、という構成。服部は2016年パレットおおさき(プラネタリウム)での夢よ再びということで、自作曲のカラオケを用意して鍵盤ハーモニカとシンセ(YAMAHA S90XS)を弾いた。ただ個人的に服部暁典の曲は、カラオケ+生演奏だけでは表現が至らないと思っている。設計図通りの部分が5割、設計図を演奏中に書き直してでもその場の空気に合わせる部分が4割、インプロヴァイズが1割だと思っているのだが、カラオケと服部ひとりの生演奏では設計図通りの部分が多くなり過ぎる。「設計図を演奏中に書き直してでもその場の空気に合わせる部分」がごっそり抜け落ちてしまうのだ。

その辺に敏感で、そういう演奏中の自由を多く含んだ打ち込み演奏する人もおられるが、まだまだ私には難しい。

しかしプラネタリウムでの演奏は、大天井に投射されるプラネタリウムの星々によって、「音楽的にかっちりしすぎる部分」をうまくほぐしてもらえていた実感がある。あるいは、インスト曲(とタイトル)が提示する世界を、夜空の映像によってぐぐぐっとイメージを広げてもらえた実感というか。実はこういう体験は音楽好きなら誰でも心当たりがあるんじゃないかと思う。いつものお気に入りの曲をドライブ中に聴いていたら、素晴らしい景色と交わって、今までにない心象風景が現れるとか。

そうだ!カラオケ+生演奏で演奏されるオレの曲には、固定されたイメージを解き放つ映像が必要なんだ!

と、ある時ふと気付いたのである。ちょうどそう思い至るのと前後して、Soundcloudで「Ribbon in the sky/Stevie Wonder」(カバー曲)を発表したのだが、そのジャケットに後藤浩輝君が撮った星空の写真がどうしても欲しくて、頼んで使わせていただいた。ギタリストとしての彼は"VOCE"(服部の組んだバンドのひとつで、ちょっと古い日本語の曲を演奏する)のメンバーだし、トンカツシンジケートセンダイのメンバーとしても交友がある。だから彼が今どんどん写真や映像に興味を深めているのを知ってもいた。そこで改めて「ライヴで演奏する服部の曲から、自由にイメージを膨らませた映像を作ってくれないか?それをステージでいっしょにやるんだ」と持ちかけてみた。結果快諾をもらい、今回の二人会は「服部暁典と後藤浩輝」というクレジットとなった。

そういう事情なので音楽先行での映像制作となった。映像制作のヒントは曲そのものとタイトルのテキストだけ。あとは自由に想像を膨らませて、曲の解釈を映像で提示してくれれば…。こういう曖昧な指示しかできなかったのだが、後藤君の返球は魅力的だった。タイムラプス動画を中心に、美麗写真のスライドショーなどで私には思いも寄らない映像を作ってくれた。ひとつの曲でも、作者自身とも、純粋なリスナーともまた違う、映像作家としてのアプローチ(映像)が曲といっしょに再生されることで、曲の持つ意味や表向きのイメージが広がっていくのを実感できた。例えば自分の曲でも自分以外の人にプロデュースしてもらったり、エンジニアリングで関わってもらうことで良い意味での客観性が獲得できるように、後藤君の映像は服部の音楽に解釈のヒントと、好きに解釈して良いという自由と、混乱をもたらしていた(笑)。今回は音楽主導での制作だったが、その逆もやってみたいし、ひとつのテーマを音楽と映像で制作してドン!と合わせてみるとか、今後のアプローチのアイデアがどんどん膨らむのであった。後藤君ありがとう。またいっしょにやりましょう。

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一方の橋元"ちゃんもつ"成朋さんの演奏は、そのタイトルの壮大さに違わぬ深度で客席を圧倒していた。大光ワタルさん(Dr.)、小澤牧子さん(Vl.)という近年のレギュラーメンバーに加え、お久しぶりのあのギタリストGさんを迎えた分厚いアンサンブルだった。ちゃんもつさんのバンド演奏を聴くといつも思うのだが、事前に準備された打ち込み音源と各ミュージシャンのリアルタイム演奏が、主従関係なしにすごく生き生きと共存していることに驚く。これって言うは易し行うは難しで、ちゃんもつさんのアレンジにまずその(リアルタイム演奏を受け入れる)余裕がきちんとあることがすごい。普通は何でもアタマの中にある音は全部実音化してしまいたくなるのが打ち込みストの常だから。寸止めの凄みみたいなものを感じる。加えて各ミュージシャン諸氏がアレンジの余白を理解し、ある時はお行儀良く、またある時はやんちゃに振る舞う(演奏する)ことで、「リアルタイム演奏が必然必須」という印象を作っているのである。

こういうのを芸と言えば言えるのだが、それを生のステージ演奏として観賞することはやはり腹にズシンとくる体験である。生誕50周年の名のとおり、ちゃんもつさんの音楽家キャリアの集大成という意味合いが少なからず込められていたのだが、それだけが理由ではなかろう。ちゃんもつさんや各ミュージシャンに対して「みなさん優秀だから…」の一言では済まない出来栄えであった。

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最後の1曲にまぜていただいた

enn 3rdという比較的小さなハコで、しかし大勢のお客様に聴いていただけたことは大変ラッキーだった。しかもミュージシャンがたくさんいて、言わば耳の厳しい玄人集がニヤニヤしながら、いや失礼、虎視眈々と客席からステージを見ている図は正直しんどかった(笑)。でも少なくとも耳の厳しいミュージシャン、リスナーに晒されなければ作家としての成長はあり得ない。苦しみつつなお働け。この世は巡礼である。

ennの星君には相変わらず世話になった。さぼり癖のついた我々ふたりのケツを蹴り上げてくれるのは星君だけである。当日会場のスタッフさんたちにももちろんお世話になった。ありがとうございました。

ご来場いただいたみなさんに感謝します。またお会いしましょう。

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濃過ぎるメンツの揃った打ち上げの席にて。
photo by Koki Goto
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