暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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21世紀のアナログシンセ

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何度も書くが、新しいアルバムを作るべく作業を続けている。ある曲で如何にもアナログシンセちっくな粗い感じのストリングスサウンドが欲しくなり、とりあえずRoland JUNO-106に向かってみた。ところがJUNO、絶不調だった。

症状を箇条書きにすると
・弾いているとフィルターやENVのセッティングが勝手に変わる
・オーディオ出力が途切れる
・何も音を出していないのにレベルメーターが振れるほどのノイズが乗る

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フィルターやENVのセッティングが何もしていないのに変わってしまう症状は、具体的に書くと突然フィルターが開いたり閉じたり、アタックタイムが変わったりするのだ。実は中古で購入したこの個体で以前にも経験したことがある。その時は各パラメータのボリュームスライダーを全交換して改善された。

ところが原因は意外なところにあった。なんとMIDI周りだ。昨今の暁スタジオ、MIDI I/Fのmotu miditimepiace AVが犯人なのか、DAWのLogic Pro9が犯人なのか、意図せぬノートオン信号が発信される。そのくせノートオフは発信されないのだ。録音中/再生中を問わず発生する。意図せぬ音が鳴り続けるわけだ。ハードウェア/DAWの他にUSBドライバー誤動作の可能性もあるが未検証。ノートオン情報が勝手に発信されるなら、コントロールチェンジ系の情報が誤発信されている可能性もありえる。

実際JUNOに結線されているMIDIケーブルを抜いたら、少なくとも音色パラメーターが勝手に変わる事象は消えた。やっぱり…。当夜JUNOがダメならJP-8000で…と、トラブった時にすぐスイッチしたのだが(シンセ選びに信念がない(笑))、JPでも同様の症状が出ていた。とほほ。後日改めてMacを立ち上げずに(つまりDAWはいないがMTP AVは生きている状態)で検証したが、音色変更のトラブルは発生しなかった。両方ともゴキゲンであった。MTP AVの設定でノートオン/オフ、ピッチベンド、サスティンペダル以外の情報にフィルターをかけてしまう方法はあるだろう。

ただし、そもそもJUNOやJPが看板にしているデータエントリースライダーが、コントローラーとしてそもそも間違いじゃないか?とは思う。ノブと違ってスライダーは物理的に可動部分に穴が開いているからそこからホコリが進入しやすく、結果的にスライダーがダメージを受けるのだと思う。現実にかつて私はその不具合を修理しているわけだから。構造的欠陥というヤツですな。

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JUNO-106のデータエントリースライダーのアップ

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こちらはJP。そりゃホコリも入るわ


JUNOのオーディオ信号が途切れる件はどうにもならない。弾いているとガリノイズが乗ったり、出音の頭が欠けたりする。それでも弾き続けていると最後は音が出なくなるのである。いわゆる内部接触不良的な症状だ。ヘッドフォン端子は調べていないが、オーディオ出力端子をあれこれ調べても改善せず。再起動など試して時間が経ったら安定してきた。強引に演奏して録音したが、OKテイクで一ヶ所ガリノイズが乗った。超イライラするわー。

「何も音を出していないのにレベルメーターが振れるほどのノイズが乗る」の犯人ははっきりしていて、内蔵コーラスである。まぁ劣化ですよね。コーラスをオフるとノイズはいなくなる。仕方ないのでコーラスをオフって録音し、DAW側でコーラスをかけた。でもこれじゃJUNOを弾く意味が半減する。JUNOの内蔵コーラスは名作だと思う。

そんなこんなで4分半の曲のOKテイクを録るために2時間もかかってしまった。JUNOもJPも普段は埃除けの布をかぶせているが、スライダーをしょっちゅう動かすわけではない。スライダーへの不信が消えたわけではない。

と、ここまで足掻いてJUNOの音を録音してみて、新しいアナログシンセを買うべきかもしれないと私が思ったとしても誰が責められようか。特に80年代に設計・販売されたアナログシンセは、当時の構成部品がすでにディスコンで、修理しようにも修理できない現実がある。かつてKORG POLY-61で経験したのだが、無理を言って後継部品に換装してもらったところ、音質が変わってしまった。それはそれで貴重な1台と言えなくもないが(笑)、暁スタジオ所蔵のシンセはどいつもこいつも自分にとっては青春の思い出の一品(笑)であり、音質が変わってしまうことは本意ではない。古いシンセのメンテに振り回されるよりも、最新のアナログシンセを買う方が精神衛生上よろしいと思う。2017年に新たにアナログシンセを購入するなら、迷わずDSI Ptophetシリーズのどれかだ。
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