暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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Winter Travel/CAOL ILAを聴く

日増しに新しい音楽を取り入れる意欲が衰えている。それはおそらく新しい音楽を受け入れるハードルは高くなっていくからだとも思う。作り方や演奏の仕方が容易に垣間見えるような音楽にはもうココロが騒がないのだ。

CAOL ILAの「Winter Travel」はそういう諸々を軽々と超えていた。彼の新作を聴く時は、自分と全く違う評価軸、価値観で作られる音楽だという思いをいつも抱く。それは同じく音楽を作る者として得られる刺激であり他山の石なのだが、本作はそれ以上の存在感と彼の進む道が奥深く大いなる可能性を持っていることを充分に示している。

たくさんの魅力的なフレーズをモザイクのように組み合わせ、音楽的な高まりや熱さというものを内包してはいるが決して感情的ではない。音楽表現における頭寒足熱とでも言えようか…。決して過剰にはなっておらず、むしろ印象としては音楽として成立するギリギリ下限のところまで「削ぎ落としている」感がある。逆の言い方だが、水と寒さだけで自然と生まれ大きくなっていく冬の軒下に生まれる氷柱のような必然性を備えているとも言える。

詳細なデータは無いのだが、ストリングスやパーカッション、声という非常にアコースティックなインストゥルメンツで紡がれる音楽は透明感に溢れており、正に「冬の旅」という言葉に相応しい。彼ほどの人がシューベルトの有名な歌曲のタイトルを引っ張ってくるのだから、このタイトルにも深淵な想いが含まれているはずだ…。と聴き手がそのように想像してしまうだけの許容力がこのアルバムにはある。

などと偉そうに書いてみたが、服部としてはもう単純に「また遠くに行かれてしまった」と思うのみ。こんな高品質の音楽を聴かされたら自分もどうにかしなければ、と思ってしまう。やはり改めて、CAOL ILAは服部の永遠のライバルなのである。次の自分のアルバムでやり返さなければならない。

CAOL ILAのCD"Winter Travel"はSound Market CUEの通信販売で購入可能。生楽器の芳醇さとテクノ文法の面白さを知っている人なら絶対に楽しめる作品である。ぜひ。
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| 音楽雑感 | 21:38 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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