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暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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S90XSインプレッション続報

S90XSのインプレッション、続報である。

■波形
全部の搭載波形を素の状態でチェックしてみたわけではないのだが、少なくともプリセットされたプログラム内で聞く/演奏する限り、素晴らしいものが多い。また出音そのものもちゃんとYAMAHAブランドのキャラクターになっており、その意味でも手元に置く価値がある。

※YAMAHA機材の購入を薦めているわけではない。例えばRolandにもKORGにも自社の音色キャラクターというものがある。それと対比して使用することができる、電子楽器としてちゃんと音色のキャラクターを持っている、という意味。そういう楽器だけを手元に置きたいものである。

ブラス系の波形にいわゆる炸裂系ではなく、ジェントルな波形が多いのはご愛嬌(笑)。

生ドラムの波形は全般的にあまりパッとしない。地味なのだ。例えばAddictiveDrumsなどのソフトウェアドラム音源と比べても音源制作における実用性が高いとも思えない。「地味」は酷な評価か。品が良いと言っておこう。この辺はYAMAHAらしいと言えばらしい。ただし今どきの音楽をそれっぽく演奏するための打ち込み系ドラムの波形をそこそこの数収録しており、人によっては便利だろう。

■プリセットプログラム
非常に完成度が高い。次々とプログラムを切り替えつつ弾いているだけで何曲かできてしまいそうに錯覚する。ただし派手さはない。ライヴの現場で重宝しそうなものが多く、バンドアンサンブルの中で声高に主張するのではない、「気がついたらちゃんといる」みたいな印象がある。この辺は今後ステージで検証していく。

ただしユーザエリア、パフォーマンスエリア双方のプリセットには、鍵盤を押した途端にリズムやベースの自動演奏が始まるものが多い。その完成度は高いのだが、ギター+ベース+ドラムなどといったアンサンブルのバンドに所属するキーボーディストがライヴで使い倒そうと思ったら、逆にこれらのプログラムは使い物にならない。あまりに作りこみがしっかりしすぎているので弾き語りパフォーマーなどにも過剰なものだと思う。楽器屋店頭で耳を惹きつける目的を多分に意識しているのだろう。これは何もS90XSに限った話でもなし。別の言い方をすればS90XSの単体音楽制作能力の高さを理解するには格好の教科書にはなるので、分析題材として研究解析するのが正しい使い道かもしれない。
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| 機材 | 21:03 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

チョーわかりやすいレポートありがとうございます。
店頭で触ったときの自身の印象とぴったりでございます。
総じて品が良い逸品だと思います。
MOTIF XSの方とは音源的には同じなんでしょか?
20代の頃はDXからSYまで弾き倒したくらいのY社フリーク
だったので、ちょっと裏山しぃ~~です。

| cha | 2010/01/07 23:06 | URL | ≫ EDIT

◇cha様
MotifXS直系と謳ってはいますが、何を以って直系なのかはなぞ…。直系というからには音源の発音方式は同じはず。私もSとMotifの差ってのは具体的に何なのかは興味があります。商品を分けている以上理由があるはず。きっと

・収録波形そのものは同じだが、搭載数が違う
・DAが違う
・エディットパラメータの数が違う(Sの方が簡略化)

あたりだと思うのですが、DAの音質A/Bテストはもちろん、MotifもS90XSもエディットしたことが無いので(爆笑)よくわかりません。漠然とSはステージ演奏向け、Motifは音楽制作向けという棲み分けかとも思いましたが、Motif8との差が判然としないし…。

YAMAHAの考える究極のシンセの現状がMotifXSの8だと思うのです。で、上質の鍵盤を搭載して廉価版にしたのがS90XSではないかな、と。可搬性も相対的にはSの方がまだ良いですし(絶対的にはSもデカイし重い)。

個人的にはYAMAHAイコールドイツ製プレミアムカー(メルセデスやアウディ)というイメージがあります。アルファロメオなどという感情に訴えるのはぶっちぎりだが機械的信頼性に疑問があるクルマに乗っている身なので、Nordleadなどのやんちゃなシンセを買うならともかく、S90XSなんて全方位的に優等生なシンセを買ってしまった今、「オレ、こんなの買っちゃって(落ち着いちゃって)いいのか??」という疑念が頭の中に渦巻いています(笑)。

次はIndigoでも買うか(笑)。

| はっとり | 2010/01/08 09:36 | URL |















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