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暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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ミックスダウンとは?

昨年12月にあった大門雷舞を、例によってDVD作品としてリリースすべく現在遠藤監督が作業中である。これまた毎度のことであるが、オープニングとクロージングにはメンバー持ち回りで専用の楽曲を書き下ろすことになっている。今回は工藤孝信が担当した。

で、だ。オープニングは雷舞当日にメンバー紹介映像とともに会場で流れるのだが、いざ映像編集も佳境になってからクロージングナンバーが存在しないことに気がついたプロデューサーふたり(とはもちろん遠藤監督と服部のことである)。

慌てて年明け早々工藤さんに連絡した。「いや、やらなきゃいけないのはわかってたんだけど、今は1月29日のことに専念したい」という返事。1月29日とは言うまでもなくKeyboardist Union@仙台のことであり、終了した今となっては、工藤さんのバンドのあのクオリティなら「専念したい」という気持ちもわかる。わかるが、そうも言っていられない。「お気持ちは十分わかりますが、世の中そんなに甘くない(笑)。」と返信して1月中に納品してちょうだい、としたのだった。

そして今私の目の前に工藤さんから送られてきた15個のwaveファイルがある。各トラックのパラデータである。これをLogicにインポートしてミックスダウンするわけだ。特に他人の曲のミックスを行う場合、私はこの各トラックのデータをアレンジメントウィンドウに貼り付けて、最初に再生する瞬間が好きだ。大きな石や木の塊を前に「さぁ、どこから手を付けようか」と手をこすり合わせる彫刻家の気持ちに似ていると思う。私にとってミックスダウンとは、ゼロから色々くっつけていって大きな作品にするのではなく、大きな抽象的な塊を削ぎ落として行き、あるべき姿に整えてやる作業だと言える。

だから「こういう形になるべきだ」という確信が持てないと、彫ることはなかなか難しい。今回の工藤さんの曲は最終形をイメージするのが難しかった。ふたつほど具体的なオーダーはあったのだが、そのとおりに実行するのも芸が無いなぁとか逡巡したりして。ループネタを中心に組み立てられているのだが、こういう手法ではえてして素材を特徴付けている周波数帯域がぶつかりあうことが多い。その反面欲しい帯域が無かったりもする。

3割くらい作業したところで着地点が見えたようだ。処理すべきところは処理したと思う。仮ミックスを作って工藤さんに送付。お気に召すだろうか。
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| レコーディング | 00:32 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

私はいまだにミックスが苦手ですv-12

| richard | 2010/02/04 07:18 | URL |

◇richard様
難しいですね…、ミックスって。

でもひとつだけ言えるのは、アレンジはミックスを想定して行うべきだし、
ミックスはアレンジ(と言うより作曲)意図を汲んで行わねばならない、
ということですね。

| はっとり | 2010/02/04 13:02 | URL |















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