2010.04.20 Tue
公共性の高いレコーディングシステムの構築
相談の内容はそれをリプレイスするレコーダーを何にするか、という件である。
はっきり言って、この現状でdegidesign protoolsを導入しないという選択には余程の理由が必要だろう。利用状況から考えてLEが現実的な選択であることには服部もE氏も異論は無い。問題はプラットフォームになるMac本体と周辺環境である。
Mac本体はMacPro買えばそれで解決のように思えるが、アマチュアミュージシャンが自ら卓前に座るような規模のレコーディングケースが多いその施設では、むしろiMacの方が便利か?とも思えるとE氏は言う。私は熱対策の問題と、万一のトラブル時に根こそぎ修理に旅立ってしまう一体型を待ったなしの現場に使用することには抵抗を感じる。またiMacでは入出力インターフェイスの絶対数が足りない場面があるのではないかとも危惧する。
周辺機器の問題はもっと複雑である。2010年現在のLE導入の稼ぎ頭003では、バンドの同時録音を行うことがあるその施設には少々役不足である。具体的に言うと003の入力数は16だが、その内の8つがアナログ(003本体のA/D)であり、残り半分の8つがadatオプティカルである。すなわち8chごとにA/Dが違ってしまうのである。ドラマーやエンジニア次第だが、ごく普通に考えてドラムセットだけでも12chくらいは消費してしまう。つまり例えばタイコ単体に立てるマイクを収録するA/Dとトップやアンビエントを収録するA/Dの音質が違うことになる。
私は割りとこういうのを気にする方である。
かと言ってでは16ch以上を同時処理できる、あるいは8ch単位のA/Dは高価だし、その施設の利用率を直視すれば費用対効果の面でオーバースペックという指摘に的確な反論ができない。またPCそのものを持ち込むケースも少なくなく、その際はむしろUSB接続によるインターフェイスの方が重宝することすらあるという。
いやぁ、公共性を考慮した機材選定は難しいなぁ。おそらく8ch単位のA/D音質の差など軽微なものとして無視し、003を導入することで決着がつくのだろう。重要なのはユーザーがHDDドライヴを持ち込み(すでに録音済みのファイルをミックスダウン目的で持ち込むこともそれなりに多いらしい)、最大公約数的protools LEで持ち込みHDDに録音し、トラブルなく持ち帰れるということなのだ。
でもせっかくあれだけの卓とマイクがある環境で録るのに、A/Dでコケるのはオレはヤだなぁ。最後の最後でストレスを感じたくない…。もっとも003とa-dat、あるいはMACKIE.のA/Dの音質差について、的確な指摘ができるかと問われれば、それも自信はないが。
| 機材 | 00:27 | comments:7 | trackbacks:0 | TOP↑
駅裏の公共ホールには一応レコーディングできる設備があり、それこそprotoolsが入っているのだが、それを使えるスタッフがホールにいない。
これが○岡です。
| richard | 2010/04/20 06:30 | URL |