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暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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楽しくないとダメ

いちいち書いていないけれど、毎日S90XSに向かっている。言うまでも無く今週末26日にある「アニソン・デパートメント」ライヴの練習である。今回演奏予定の8曲でひとつの音色だけで乗り切れそうなのは1曲だけで、あとは途中からレイヤーサウンドをonしたり、スプリットプログラムを組んで88鍵で2~3の音色を弾き分けたりしなければならない。シンセでスプリットプログラムを組むのは、これまでの演奏人生で1度くらいしかなかった。見た目の音域と実際鳴る音程が違うので混乱する。慣れるしかないのだ。

2011年の正月を少し過ぎた頃、ふと思ったことがある。幸か不幸か、自分は音楽で生計を立てていない。それでも誰かと約束をして音楽を「作らなければならない」状態になることはある。ここ10年間以上、その「締め切りのある音楽制作」は音楽修行にちょうど良いと考えていた。それは自分が自分の音楽に対して客観性を持ちたいと思っていたことも関係していると思う。誰かに曲を提出する以上自分の感性だけで完結することはできない。だから誰かに頼まれて初めて成立する音楽制作もコヤシになると思ったのである。

その結果コヤシにはなったが、自分の中の音楽的貯金を切り崩すスピードの方が速かった。ここ数年、急速に自分の中の音楽的アイデアが枯渇していくのを自覚しつつ焦燥感に駆られていた。

そこで突然思ったのである。「オレはオレのために音楽を作っても良いのではないか?」。別の言い方をすれば「オレが楽しければそれで良いんじゃないか」と思ったわけだ。そう割り切って活動することで家族を路頭に迷わせるようなこともない。これはなんてラッキーなことなんだ。そんな閃きから、数年越しに構想していた自分のアルバムを出す決心がついた。と言うより単に「作りたい」という気持ちになった。演奏活動もヘンに他人の評価などを気にすることなく、「オレはこう弾いてると楽しいんだ!」というプレイだけやれば良いんじゃないか。

そう思うようになったら、鍵盤を演奏することがものすごく楽しくなった。うまくやろう、良く見てもらいたいなどと考えていたのだな、思っていたよりも。だから家に帰るとまず機材の電源を入れる。でもMac(音楽制作用のPowerMacG5)は入れないことの方が多い。S90XSに向かって26日の演奏曲の練習をしているが、気が向くままに色々な曲を演奏している。自作曲だったり好きな曲だったり。

得意なことしかやっていてもうまくはならない。楽しいだけでは芸術には昇華できない。それは真理だ。でも楽しくなかったら何のために音楽をやるんだ。

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