暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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アニソン・デパートメント ライヴ終了!

アニソン・デパートメントライヴ、終了した。大勢のお客様の前での演奏、しかもいちいち反応が良くて演奏していても楽しかった。

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サウンドチェックの一コマ。太郎君はドラムセット一式お持ち込み

今回ご一緒させていただいたバンドはどれもこれも一生懸命やっていて、かつ力も適度に抜けていてとてもバランスが良かったと思う。基本的にコピーバンド特集であった。

りびぃ丼
初めてご一緒させていただいたが、普段はオリジナルを演奏されているとのこと。鍵盤奏者もいるらしいが昨夜はWinノート機を2台シンクロさせた打ち込みをバックにギタートリオで演奏。80年代洋楽ロック集。鍵盤系とコーラスをCubaseで再生していた。緻密さと人間らしさが上手にバランスされていてすごく高い完成度。動員数も半端なくて、対バンイベントの1バンド目にしてアンコールが出ていた。そんなの初めて見た。すごい。

邪威暗?
バンド名から察せられるとおり聖飢魔IIのコピーバンド。19:45からの出番なのに18時くらいから楽屋でメイクが始まるのである。楽屋でバカ話をしていたのだがメンバーのみなさんみんないい人。いや、いい悪魔(笑)。「蝋人形の館」を楽屋のモニターで聴きながら「あぁ、高校3年生の文化祭でこれ演奏したなぁ(しかもドラムで)」とか思い出したり。

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勝手に撮影しちゃった(笑)楽屋にあった変身セット

SP
Dreams Come Trueのコピーバンド。こちらも鍵盤系をDAWで再生。最近多いのかな、こういうアンサンブル。ドリカムなのにフロントには3人。メインのヴォーカルとコーラス、さらにラッパー。ぼくデラの石森さっちゃんがぼそっと「うますぎる。(この後にやるの)やだな~」と言っていたのが印象的。こちらも緻密にタイトに。隙の無い演奏だった。ベースは大島さん。サウンドチェックの時にお顔を見てびっくり。さらにVo.とGt.はご夫婦であり、一昨年卸町で開催されたLOOPというイベントでご一緒させていただいたのだった。失念していてすみません。

ぼくらのザ・ベストテンデラックス
そもそもこのライヴは彼らをフィーチャリングしたもの。今回もたっぷり濃い選曲だった。もうこのバンドについてあーだこーだ言う必要は無いと思う。まとまりという意味でものすごい完成度だった。鍵盤奏者工藤孝信は鍵盤を3層に積んで登場。XP-80、XP-60、microKORGである。要は音源再現系のアプローチで、アニソンD服部が取った対策と正反対のベクトル。あるべき音色をあるべき音域で独立した鍵盤で弾く。この物量を持ち込むのが面倒でスプリットプログラムに頼ったんだよなぁ。

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これだもん

さてアニソン・デパートメントである。今回のライヴに参加して、あるいは今回このメンバーで演奏してとても多くのことが理解できた。まず何よりも先に、けっこう無茶な話につきあってくれたメンバーに感謝。特にきちんとアレンジを決めたわけでもなく誰かが指示するでもなく、それでも自分の立ち位置をしっかりと見つけて音楽にインプットしてくれた。当日深夜のリハーサルでようやく全容が見えた!と思っていたら、本番ではさらに濃度を高くしてくれた。それを期待して声をかけたメンバーばかりであるが、それでも実際にその瞬間を体感すると、何と言うか、自分の身体が音楽で満たされているという実感でいっぱいになる。そういう時の演奏は後から聴いても(上手い下手ではなく)ある種の勢いというものがあって、自分のプレイも「悪くない」と思えたりもする。太郎君、林君、森木君、小河さん、菅野さんありがとう。

その他ランダムに書いてみる。

まずライヴステージで打ち込みを使うことについて。自分もそういうことをやらないわけではない。ただ「これ以上はやらない方がいい」という一線を見失いがちだった。だって打ち込みで流す方が再現度も状態も理想に近いわけだから。で、行き着く先は「自分が弾くところがもう無い」ということになってしまう。そこをどうするかがよくわからなかった。しかし今回「りびぃ丼」さんと「SP」さんの演奏を聴いていてわかった。「その場にいない演奏者の音だけを打ち込む」と割り切れば良いのだ。要は打ち込みデータを走らせることによってアレもできるコレもできる…と欲張るのではなくて、演奏者がいないけど鳴っていて欲しい音に限定して使えば、打ち込みもひとつの武器になるなぁと思った。すぐにどうこうという場面は無いが、いつか試してみよう。

バンドの演奏の組み立て方とバンドでの自分の立ち位置について。今回ご一緒したバンドはおそらくコンスタントにリハーサルを重ねておられるのだろう。そういう演奏は見れば(聴けば)わかる。秋保太郎君曰く「身体が勝手に動くようになる」レベルである。一方服部がいつも身を置くようなバンドのように、特定の目的(ライヴ)に向けて(初めて組む人もいるという編成も含めて)一気に集中するアプローチもある。今回アニソンDは3回ほどリハーサルを行った。最初の1回目には太郎君は参加できなかったので2.5回と言える。コンスタントにリハをやるにせよ短期集中型にせよ、良い演奏をしたいという目的は同じだが、アプローチの違いによって生まれてくるものは違う。今自分には毎週のようにスタジオに入って同じ曲を何度もリハーサルする気力は無い。これははっきり言える。今回のライヴで自分が欲しかったのはしかし、そういうアプローチで得られる出来だったのではないか、という疑念はあった。

その疑念は自分の演奏アプローチと相互に影響しあうものだ。今回の鍵盤パートは大げさに言えば苦しかった。当初は音源どおりにやるつもりはさらさら無かったのだが、最終的にはオリジナル中のブラスやストリングスのフレーズを再現する方向に自然と変化していった。そうなるともう自分の中には「こうあるべきだ」というはっきりした地図が出来上がり、だがその地図に描かれている道は難易度が高く、そのとおりに進めないようなもどかしさを結局サウンドチェックまで引きずった。いや、自分の腕が未熟なのはわかっているが、それを差し引いても、だ。

終演後の楽屋でそのことをメンバーに話したら、菅野さんには「キミは我が強いからだよ」と言われた。うん、それはそうだと思う。レコードの通りになんか弾いてられるかよ!という気持ちは常にどこかにある。太郎君は「(どんなにリハーサルを重ねても)どうにも思った通りにできない自分がいることがあって、そんな自分とどう向き合うかだと思う」と言われた。「できない自分を楽しむ、と言うか」。そんなこと考えたことも無かったよ!今回はそういう自己と向き合うケースだったと思って良いのだろうか。答えは無いけど。

ただしひとつ言えることは、今回の演奏は服部が想定した以上の出来で、それはそういう演奏をしてくれるに違いないと思ったメンバーに参加してもらえたからだということ。想定越えはライヴ当日深夜のリハーサルで確信した。だからバンドサウンドのまとめ方や自分の演奏アプローチに多少の疑念があっても、ステージでは楽しむことができた。自分の鍵盤演奏が納得いく出来だったかどうかはともかく。バンドとして勢いがあったということは確信している。それは少ないリハーサル回数だったからこそ生まれる緊張感が良い方向に作用しているのは間違いないわけで、今にして思えば、昨夜のアニソンDの演奏は例え100回リハーサルをやっても到達できなかったものだと思うし、そうやって生まれた演奏は間違いなく楽しかったということだ。良い悪いではなく、そういうことなのだ。

モニターについて。イヤフォンモニターを思いついた時は、とうとうモニター問題と決別できるかと思ったが、結果的にはそうではなかった。思い悩んだ揚げ句、ミキサーやヘッドフォンアンプは持ち込まず、結果的にはシンセのヘッドフォンアウトからから直接聴いたのだが、ふたつの理由で今一つな結果だった。ひとつはステージ上の大音量環境下ではシンセのヘッドフォンアウトでは音量が充分ではないこと。ふたつにはシンセ以外の楽器やヴォーカルのモニターが十全では無いことが挙げられる。ま、考えてみればその通りだし、このログを読んでいる電子楽器奏者の誰もが「そりゃそうだろ」と思うことだろう。自分にとってはやってみないとわからないことだったのだ。

ひとつ目の音量が足りないと言う事態は想像すらしなかった。演奏後ぼくらのザ・ベストテンデラックスの工藤孝信とその話になったら「足りないでしょ?」と言われちまった。ええ、足りませんでした。ヘッドフォンアンプは実は持ち込んだのだけど、当日の開演直前に「ヘッドフォンアンプ用にAUXかグループアウトをステレオで4・7プラグでもらえませんか?」というのは非常識だ(言ってみたけど(笑))。ふたつ目は言い換えれば自分以外の演奏者の音とのバランスをどう取るのか、という話なのだが、自分の演奏で付けているダイナミクスとイヤフォン越しに聴くメンバーの音のダイナミクスが合わないのだ。やはりどんなに簡易なものでも良いから、モニターミックスを作らないとダメなようだ。

とまぁ、たくさんのことに考えが及んだ一夜だったのだが、ステージの上ではとても楽しかった。お客様の心が動いていることが実感できるステージは本当に楽しい。何人かのお客様や楽屋で他の出演者の方から、ぜひまた見たいという意味のお言葉をいただいたが、自分としては一回こっきりのスペシャルバンドのつもりだ。営業なら話は別だが(笑)。ちなみに菅野さんは刑事モノドラマの主題歌ばっかりでやりたいと言っていた(太郎君もその手のドラマは好きらしく、刑事ドラマには殉職シーンが付き物だから「殉職デパートメント!JD!」とか言っていた)。小河さんは特撮モノも!と言っていた(特撮デパートメントか。それならオレも「死ね死ね団の歌」をやりたいぜ)。おいおいやるのかやらないのか、どっちなのよ!みたいな。個人的にはあんな、鍵盤の上下を行ったり来たり、ひとつの鍵盤に3つも音色をアサインして演奏するのはもういいです(笑)。

ご来場いただいたお客様に感謝感謝。出演のお声掛けいただいたぼくデラのみなさん、ennの星君にも感謝。創作当時は「子ども向け」と蔑まされていただろうジャンルで素晴しい楽曲を作り続けた、偉大なアニメソング作家にも敬意を表します。

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| ライヴ | 21:57 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

お疲れ様でした(行けませんでしたが^^;)
70年代アニソンのベースラインの弾けっぷりが大好きですw
当時の曲がyoutubeでよく上がってますが
ステレオよりもモノラルであがってるほうに懐かしさを覚えます。

| ほ さ | 2011/02/28 15:58 | URL |

◇ほさ様
うわ~!×2

その1 まずほささんにご案内出すべきだった~!
その2 S90XSのアウト、ステレオで出しちゃった!

次回(があれば)モノラルで行きます。

| はっとり | 2011/02/28 16:36 | URL |

ライブ@enn。

お疲れさまでした!

打上げでのしもトーク。
これから~♪という所で終わってしまして残念でした。
(南條氏の目を気にし、自身知らず守りに入っていたかもしれませんw。失念です、次こそ-)

いや…。
もとより。


アニDバンド、
また観たいです!

| ベース・こうすけ ぼくデラ一員 | 2011/02/28 18:31 | URL |

◇ベース・こうすけ ぼくデラ一員様
>>南條氏の目を気にし、自身知らず守りに入っていたかも
敢えて言いたい!いつからキミはそんなヘタレに成り下がったのか!と。
期待をこめて言いたい!エロい話こそ打ち上げの一番のご馳走なのだ!と。

ということで、南条さんの教育をよろしくお願いいたします。

| はっとり | 2011/03/01 08:29 | URL |















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