2011.02.28 Mon
アニソン・デパートメント 演奏曲目解説
昨日のエントリーでは延々と脳内葛藤をテキストにしただけで力尽きてしまったが(笑)、本当は演奏した曲の解説もしようと思っていたのだ。そろそろ気持ちを切り替えたいのだがまだアニソンエントリー続く。ちなみに各曲の記載順は演奏順で、クレジットは基本的にJASRACデータベースによる。
「テッカマンの歌」作詞:竜の子プロ文芸部 作曲:小林亜星(「宇宙の騎士テッカマン」OP)
この曲、サビの「うちゅうのきっし!うちゅうのきっし! じゃんじゃん テッカマァ~~~ン」ばかりが記憶に残っていたのだが、いざ全貌を把握してみるとイントロの4度音程積み上げはカッコイイし、BメロのC>F>C>FからいきなりE7>Am7と行ってG7>Cでおお!とひねった舌の根も乾かぬうちにA7>Dと展開する様はまるでスティーヴィー・ワンダーのoverjoyedのエンディング直前のウルトラCを見る想いである。そんなカッコイイコード進行に乗っかる歌詞が「闇にうごめく ワルダスター」とか「宇宙忍者に 流星魔神」とか「涙こらえる 男星」とくるから恐れ入る。水木一郎じゃなきゃ子門正人くらいしか歌えない特殊歌詞だ。シビレル。服部はS90XSで左半分がストリングス、右半分がブラスセクション(ポワッと系と炸裂系のレイヤー)の今回のライヴの定番のスプリットプログラムで皿回しのごとく行ったり来たりを繰り返す。要所要所に出てくるストリングスの駆け上がりフレーズがカッコイイのだが鍵盤で演奏する身にもなってくれYO!ちなみにこの頃のアニソン、歌謡曲ではブラスセクションやストリングスセクションが山盛りで、それを前提にした華麗なアレンジが施されているが、ただ録音しただけでここまでドラマティックにはならない。この頃のレコーディングでは録音時にエンジニアがフェーダーで録音レベルを逐一いじっていたらしい(師匠談)。だからアレンジの目立たせたいフレーズが目立つべき場所で目立っているのは、レコーディング時に譜面とにらめっこでフェーダーを操作していたエンジニアの手腕によるところが大きいのだそうだ。今なら平坦に録っておいて後からヴォリューム情報を書いちゃうけど、だからいつまで経っても一曲のミックスが終わらないんだよ!昔の歌謡曲のシングル曲なんて午前仕込み午後イチ録り、夕方からミックス、深夜に2曲(A面B面)とも完成なんて現場は結構普通だったそうだ。閑話休題。小河さんのロックなギターが大活躍。この頃の曲を低音効かせて演奏するととたんに今っぽい雰囲気に変わるから侮れない。逆に言うと00年代以降の曲って、低音をざっくり削るといきなりショボくなるのだ!お試しあれ。
「ラ・セーヌの星」作詞:保富康午 作曲:菊池俊輔(「ラ・セーヌの星」OP)
実際のところアレーヌなる歌手が歌わなければここまで印象深い歌になっていたか疑問。この人何者なんだ。「輝くあかとぅき(暁)の星になる~」とか「銀のとぅるぎ(剣)を~ ふりゅうのら~(振るうのだ)」とか「みてぃからみてぃへ~(道から道へ)」とか帰国子女発音で脳がとろける!でも何と言っても圧巻は、Bメロの歌の合間に挿入される「アロンジ!」とか「オー!リベルテ!」などの「雄たけび」である。選曲会議の席上では「あきらかにグルーヴから逸脱している!」と30分くらい笑い続けてしまった。実際その席上でウケまくったのでリストに加えてしまったようなもので、ライヴ当日深夜のリハーサルで実際に演奏してみるまでは没になると思っていた(笑)。音源にはチェンバロが入っているが全く意義を見出せず(笑)。もちろんライヴでは省略した。キャンディキャンディのOPは偉大だった、ということだ。鍵盤は前曲のまま。すなわちストリングスとブラスのスプリットプログラムで皿回し。
「父をもとめて」作詞:あおいあきら 作曲:小林亜星(「超電磁マシーンボルテスV」OP)
「泣く~ ものか~ ぼくは~ おとこだ~」というサビに抗える男子が一体何人いるだろうか。こおろぎ`73のコーラスも地味に素敵だ。オリジナルではスライドギターがハーモニー演出の面で結構大きな役目を果たしていて、実はピアノも入っているのにフィーチャリング度合いではスライドギターの方がピアノよりも3倍くらい大きい。菅野さんの分析では「この頃の勇ましい音楽は、全部ウェスタンやカントリー調で強調されているんだ」ということになる。今回は演奏しなかったが「誰がために(サイボーグ009)」ももろウェスタンだし、この分析は結構信憑性が高いと思っている。今回はそこを敢えて「普通のバンド」っぽいアンサンブルで構築してみた。70年代特有の中・低域ががっつり削られ、かつコンプでツブされたピアノの雰囲気を出したくて生ピアノとハードアタッキーなローヅとのレイヤーサウンドでどノーマルなコード弾きに終始。それもこれもストリングスのフレーズを林"巨匠"宏樹にフルートで再現してもらえたからである。今回このバンドでは林巨匠のフルートが大きく方向性をリードしたと思う。あとベース。森木君には口頭で指示しただけなのに(彼は音源を全く聴いていないはずだ)、この曲のAメロとサビのまるっきり別物のグルーヴを見事に弾き分けてくれた。ちなみに鍵盤を弾きながらコーラスフレーズを歌ったが、これは本番で初めて歌った。リハーサルでも歌わなかったしサウンドチェックでもこの曲チェックしなかったし。無茶はやめましょう(笑)。原曲では間奏を利用したアウトロが付いていたのだが、まったくイカサナイのでテレビ放映時のエンディングで演奏した。
「元祖天才バカボンの春」作詞:赤塚不二夫 作曲:渡辺岳夫(「元祖天才バカボン」OP)
ムード歌謡。誰かクラベスでモントゥーノクラーベやって欲しかった。この曲もこおろぎ`73が渋い仕事をしている。小学生の頃からこの曲のイントロはオカリナだと思っていたのだが、ハモリの下をシンセでなぞるにあたってS90XSのライブラリの中から似つかわしいプログラムとして見つけたのはアイリッシュホイッスルだった。もしかしたらリコーダーかもしれないけど。そのS90XS、下半分をストリングス、真ん中あたりをホイッスル、その上にブラスセクションという3音色スプリットで臨んだ。いやもう、こうなると芸だね。水芸とか皿回しに近い。もうやりたくない。ちなみにこの曲のコーラス(というかユニゾン)も本番で初めて歌った。菅野さんは本番で「ん??誰かいっしょに歌ってる!」と驚いたそうな。無茶は本当にやめましょう(笑)。
「ヤマトより愛をこめて」作詞:阿久悠 作曲:大野克夫(「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」主題歌)
実にシンプルで冗長な曲。おそらく阿久悠の詞が先行したのだろう。この劇場版ヤマトの最終作(になるはずだった)に関する設定集とかロマンアルバム(!)などを最近たくさん読んだのだが、もう、スタッフの熱の上がり方が半端じゃないのだ。スタッフインタビューでも「オレにとってのヤマトとは!」とか「この作品のためなら!」みたいな言葉のオンパレードで、30年も経ってから読み返すと赤面してしまうようなものばかりだ。「君は手を広げて 守るがいい 命を投げ出す 値打ちがある」なんて言葉、そんな熱気の中じゃなきゃ提出できないだろう。ちなみに本番のMCで作曲宮川泰と言ってしまったがこれは間違い。宮川は編曲、作曲は大野克夫でした。認識不足申し訳ない。小学生の頃映画館で「さらば」を見て泣きそうになったものだが、今の耳でこの曲を聞くと、冒頭に書いたとおり冗長で一体どこがサビなんだ!と言いたくなるような平坦な曲だ。それをここまでドラマティックしているのは歌手沢田研二の力量と、イントロのピアノフレーズに尽きる。やはり宮川泰はタダモノではない。なのでこの曲のピアノサウンドはちょっと気を使った。1番はほんとにシンプルにピアノのみ。S90XSのウリでもあるYAMAHA C6のサンプル。こういう時はこのサンプルも良く響く。2番以降はスペーシーなデジタルシンセ系パッドを薄っすらレイヤリング。on/offは手動で。ところでこのピアノイントロ、もっのすごくカンタンなんですよ、奥さん!ぜひ今夜、試してみてください!
「炎のたからもの」作詞:橋本淳 作曲:大野雄二(「ルパン三世 カリオストロの城」主題歌)
今回のライヴに出演したどのバンドも熱演を繰り広げていたが、アニソン・デパートメントが一番演奏のダイナミクスに気を配っていた、という自負がある。この曲は大音量で演奏してはいけない。曲の歌詞に詠われる情念から見ても、「泣かぬほたるが身を焦がす」的なアプローチで演奏すべきであり、実際そうできた。それにしてもこの曲は大野雄二の代表作と言ってもいいんじゃないだろうか。木管楽器、ストリングスの使い方など大野雄二的エッセンスがこぼれ落ちそうなくらいてんこ盛りになっている。服部的な見所としてはイントロの(6/8拍子カウントで)5小節目からのベースがオンコードで上がっていくところ(他にもこの曲にはオンコードのベースの動きが感動的な部分が多い)、サビの(あからさまでない)半音下降、フルートソロ後半のスペーシーなコード進行などであろう。歌詞に目を向けても興味深い点がある。この曲は女言葉で書かれており、ストレートに考えれば主人公は作品中のヒロインであるクラリスであろう。それなのに「荒野をさすらうあなたを 眠らせてあげたいの」とさりげなく母親目線。加えて「あなたにだけは わかってほしい」とか繰り出される女の情念。あんなネンネちゃん(死語)が…、と女性の本性を見る思いである。あの夜の鍵盤プレイにもその感慨があふれていた(嘘)。ちなみに菅野さん、今回のライヴで初めてまじめにこの曲と対峙したそうだが、「難しい」を連発していた。さもありなん。鍵盤はローヅサウンドでコード弾き。スーツケース系。要所要所をフルートとコンビネーションで。フルートはこの曲で大活躍で、原曲に入っているフルートのフレーズはもちろん、オーボエもストリングスも全部フルートで演奏してもらった。さすが巨匠。フルートソロを突然4倍に伸ばされても堂に入ったものだ。
「王者 侍ジャイアンツ」作詞:梶原一騎 作曲:政岡一男(「侍ジャイアンツ」OP)
侍ジャイアンツは大好きなアニメだったのだが、不覚にも初期の三拍子のOP曲しか覚えておらず、今回初めて意識してこの曲を聴いたのだが実に味わい深い佳曲だ。「鉄の左腕の折れるまで 熱い血潮の燃え尽きるまで」や「野球地獄で 男を磨け」という歌詞は今だからこそ実に新鮮に響く。実際歌っても口が楽しい。原曲の演奏も負けないくらい熱い。アープオデッセイ(つまりミニモーグじゃない)あたりのレゾナンスを効かせてフィルター半閉じみたいな、いやらしいアナログシンセが大活躍なのだが、当然それは林巨匠のサックスに置き換え。やはりこの曲もAメロはウェスタン調であるが、突然Bメロでファンク寄りグルーヴになるのが渋い(またミックスが素晴らしい)。鍵盤は基本のスプリットプログラムに戻って皿回し。実は意外と音を出さない瞬間が多くて、手持ち無沙汰な曲でもあった。ところでこの曲を歌っているのは「ロイヤルナイツ」なるグループなのだが、これってタイムボカンのED「ドロンボーの歌」を歌っていたロイヤルナイツと同じ人たちなんだろうか。だとしたらものすごい振れ幅なんだけど、大丈夫なんだろうか。
「ゲッターロボ!」作詞:永井豪 作曲:菊池俊輔(「ゲッターロボ」OP)
当初想定していたのはアニメタルがやったバージョンである。あれはカッコ良かった。イントロで小河っちがフィーチュアされていたのはそういう理由なのだが、やっぱり鍵盤はスプリットプログラムでブラスとストリングスを担当。大忙しな1曲で、「もうこういうの(皿回しみたいな鍵盤プレイ)ヤだな」と思うきっかけのひとつだったのだが、ぼくデラのドラマー橋本さんがサウンドチェックでやったこの曲の演奏を聴いて「オレこの曲カラオケで歌うの大好きなの!細かいブラスやストリングスまで完璧に再現してくれてて嬉しかった~」と満面の笑みで言われてしまい、もうこういうのヤなんです!とは口が裂けても言えない状況になってしまったのだった(笑)。ささきいさおの原曲キーは菅野さんには少し低かったかもしれない。最後のはっちゃける曲なのに、ごめんね(笑)。そして「炎のたからもの」と「ゲッターロボ!」を叩き分けてくれるドラマーは服部の知る限り太郎君だけだ。太郎君はリハーサルには途中合流で、自分でサイズやフレーズを書き込んだメモを持参してきた。こんなにやる気を見せる太郎君はちょっと見たことが無いと言っても過言では無い(ただしライヴ当日は譜面をきれいさっぱり自宅に忘れてきていたが・(笑))。おかげで曲がまとまるのは早かった。また本番前の楽屋で「エア練習」を提唱。菅野さんを除く全員で太郎君のひざドラムに合わせ自分のパートを歌うというリハーサルを繰り広げたのだった(そして出番待ちの邪威暗IIさんから「それで本番もやってほしい」と言われた・(笑))。なんだかんだでバンドを引っ張っていたのは太郎君なのかもしれない…。おそるべし、秋保太郎。
※2011.03.02.追記 クラーベをモントゥーノと誤記していた。浅はか也。
「テッカマンの歌」作詞:竜の子プロ文芸部 作曲:小林亜星(「宇宙の騎士テッカマン」OP)
この曲、サビの「うちゅうのきっし!うちゅうのきっし! じゃんじゃん テッカマァ~~~ン」ばかりが記憶に残っていたのだが、いざ全貌を把握してみるとイントロの4度音程積み上げはカッコイイし、BメロのC>F>C>FからいきなりE7>Am7と行ってG7>Cでおお!とひねった舌の根も乾かぬうちにA7>Dと展開する様はまるでスティーヴィー・ワンダーのoverjoyedのエンディング直前のウルトラCを見る想いである。そんなカッコイイコード進行に乗っかる歌詞が「闇にうごめく ワルダスター」とか「宇宙忍者に 流星魔神」とか「涙こらえる 男星」とくるから恐れ入る。水木一郎じゃなきゃ子門正人くらいしか歌えない特殊歌詞だ。シビレル。服部はS90XSで左半分がストリングス、右半分がブラスセクション(ポワッと系と炸裂系のレイヤー)の今回のライヴの定番のスプリットプログラムで皿回しのごとく行ったり来たりを繰り返す。要所要所に出てくるストリングスの駆け上がりフレーズがカッコイイのだが鍵盤で演奏する身にもなってくれYO!ちなみにこの頃のアニソン、歌謡曲ではブラスセクションやストリングスセクションが山盛りで、それを前提にした華麗なアレンジが施されているが、ただ録音しただけでここまでドラマティックにはならない。この頃のレコーディングでは録音時にエンジニアがフェーダーで録音レベルを逐一いじっていたらしい(師匠談)。だからアレンジの目立たせたいフレーズが目立つべき場所で目立っているのは、レコーディング時に譜面とにらめっこでフェーダーを操作していたエンジニアの手腕によるところが大きいのだそうだ。今なら平坦に録っておいて後からヴォリューム情報を書いちゃうけど、だからいつまで経っても一曲のミックスが終わらないんだよ!昔の歌謡曲のシングル曲なんて午前仕込み午後イチ録り、夕方からミックス、深夜に2曲(A面B面)とも完成なんて現場は結構普通だったそうだ。閑話休題。小河さんのロックなギターが大活躍。この頃の曲を低音効かせて演奏するととたんに今っぽい雰囲気に変わるから侮れない。逆に言うと00年代以降の曲って、低音をざっくり削るといきなりショボくなるのだ!お試しあれ。
「ラ・セーヌの星」作詞:保富康午 作曲:菊池俊輔(「ラ・セーヌの星」OP)
実際のところアレーヌなる歌手が歌わなければここまで印象深い歌になっていたか疑問。この人何者なんだ。「輝くあかとぅき(暁)の星になる~」とか「銀のとぅるぎ(剣)を~ ふりゅうのら~(振るうのだ)」とか「みてぃからみてぃへ~(道から道へ)」とか帰国子女発音で脳がとろける!でも何と言っても圧巻は、Bメロの歌の合間に挿入される「アロンジ!」とか「オー!リベルテ!」などの「雄たけび」である。選曲会議の席上では「あきらかにグルーヴから逸脱している!」と30分くらい笑い続けてしまった。実際その席上でウケまくったのでリストに加えてしまったようなもので、ライヴ当日深夜のリハーサルで実際に演奏してみるまでは没になると思っていた(笑)。音源にはチェンバロが入っているが全く意義を見出せず(笑)。もちろんライヴでは省略した。キャンディキャンディのOPは偉大だった、ということだ。鍵盤は前曲のまま。すなわちストリングスとブラスのスプリットプログラムで皿回し。
「父をもとめて」作詞:あおいあきら 作曲:小林亜星(「超電磁マシーンボルテスV」OP)
「泣く~ ものか~ ぼくは~ おとこだ~」というサビに抗える男子が一体何人いるだろうか。こおろぎ`73のコーラスも地味に素敵だ。オリジナルではスライドギターがハーモニー演出の面で結構大きな役目を果たしていて、実はピアノも入っているのにフィーチャリング度合いではスライドギターの方がピアノよりも3倍くらい大きい。菅野さんの分析では「この頃の勇ましい音楽は、全部ウェスタンやカントリー調で強調されているんだ」ということになる。今回は演奏しなかったが「誰がために(サイボーグ009)」ももろウェスタンだし、この分析は結構信憑性が高いと思っている。今回はそこを敢えて「普通のバンド」っぽいアンサンブルで構築してみた。70年代特有の中・低域ががっつり削られ、かつコンプでツブされたピアノの雰囲気を出したくて生ピアノとハードアタッキーなローヅとのレイヤーサウンドでどノーマルなコード弾きに終始。それもこれもストリングスのフレーズを林"巨匠"宏樹にフルートで再現してもらえたからである。今回このバンドでは林巨匠のフルートが大きく方向性をリードしたと思う。あとベース。森木君には口頭で指示しただけなのに(彼は音源を全く聴いていないはずだ)、この曲のAメロとサビのまるっきり別物のグルーヴを見事に弾き分けてくれた。ちなみに鍵盤を弾きながらコーラスフレーズを歌ったが、これは本番で初めて歌った。リハーサルでも歌わなかったしサウンドチェックでもこの曲チェックしなかったし。無茶はやめましょう(笑)。原曲では間奏を利用したアウトロが付いていたのだが、まったくイカサナイのでテレビ放映時のエンディングで演奏した。
「元祖天才バカボンの春」作詞:赤塚不二夫 作曲:渡辺岳夫(「元祖天才バカボン」OP)
ムード歌謡。誰かクラベスで
「ヤマトより愛をこめて」作詞:阿久悠 作曲:大野克夫(「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」主題歌)
実にシンプルで冗長な曲。おそらく阿久悠の詞が先行したのだろう。この劇場版ヤマトの最終作(になるはずだった)に関する設定集とかロマンアルバム(!)などを最近たくさん読んだのだが、もう、スタッフの熱の上がり方が半端じゃないのだ。スタッフインタビューでも「オレにとってのヤマトとは!」とか「この作品のためなら!」みたいな言葉のオンパレードで、30年も経ってから読み返すと赤面してしまうようなものばかりだ。「君は手を広げて 守るがいい 命を投げ出す 値打ちがある」なんて言葉、そんな熱気の中じゃなきゃ提出できないだろう。ちなみに本番のMCで作曲宮川泰と言ってしまったがこれは間違い。宮川は編曲、作曲は大野克夫でした。認識不足申し訳ない。小学生の頃映画館で「さらば」を見て泣きそうになったものだが、今の耳でこの曲を聞くと、冒頭に書いたとおり冗長で一体どこがサビなんだ!と言いたくなるような平坦な曲だ。それをここまでドラマティックしているのは歌手沢田研二の力量と、イントロのピアノフレーズに尽きる。やはり宮川泰はタダモノではない。なのでこの曲のピアノサウンドはちょっと気を使った。1番はほんとにシンプルにピアノのみ。S90XSのウリでもあるYAMAHA C6のサンプル。こういう時はこのサンプルも良く響く。2番以降はスペーシーなデジタルシンセ系パッドを薄っすらレイヤリング。on/offは手動で。ところでこのピアノイントロ、もっのすごくカンタンなんですよ、奥さん!ぜひ今夜、試してみてください!
「炎のたからもの」作詞:橋本淳 作曲:大野雄二(「ルパン三世 カリオストロの城」主題歌)
今回のライヴに出演したどのバンドも熱演を繰り広げていたが、アニソン・デパートメントが一番演奏のダイナミクスに気を配っていた、という自負がある。この曲は大音量で演奏してはいけない。曲の歌詞に詠われる情念から見ても、「泣かぬほたるが身を焦がす」的なアプローチで演奏すべきであり、実際そうできた。それにしてもこの曲は大野雄二の代表作と言ってもいいんじゃないだろうか。木管楽器、ストリングスの使い方など大野雄二的エッセンスがこぼれ落ちそうなくらいてんこ盛りになっている。服部的な見所としてはイントロの(6/8拍子カウントで)5小節目からのベースがオンコードで上がっていくところ(他にもこの曲にはオンコードのベースの動きが感動的な部分が多い)、サビの(あからさまでない)半音下降、フルートソロ後半のスペーシーなコード進行などであろう。歌詞に目を向けても興味深い点がある。この曲は女言葉で書かれており、ストレートに考えれば主人公は作品中のヒロインであるクラリスであろう。それなのに「荒野をさすらうあなたを 眠らせてあげたいの」とさりげなく母親目線。加えて「あなたにだけは わかってほしい」とか繰り出される女の情念。あんなネンネちゃん(死語)が…、と女性の本性を見る思いである。あの夜の鍵盤プレイにもその感慨があふれていた(嘘)。ちなみに菅野さん、今回のライヴで初めてまじめにこの曲と対峙したそうだが、「難しい」を連発していた。さもありなん。鍵盤はローヅサウンドでコード弾き。スーツケース系。要所要所をフルートとコンビネーションで。フルートはこの曲で大活躍で、原曲に入っているフルートのフレーズはもちろん、オーボエもストリングスも全部フルートで演奏してもらった。さすが巨匠。フルートソロを突然4倍に伸ばされても堂に入ったものだ。
「王者 侍ジャイアンツ」作詞:梶原一騎 作曲:政岡一男(「侍ジャイアンツ」OP)
侍ジャイアンツは大好きなアニメだったのだが、不覚にも初期の三拍子のOP曲しか覚えておらず、今回初めて意識してこの曲を聴いたのだが実に味わい深い佳曲だ。「鉄の左腕の折れるまで 熱い血潮の燃え尽きるまで」や「野球地獄で 男を磨け」という歌詞は今だからこそ実に新鮮に響く。実際歌っても口が楽しい。原曲の演奏も負けないくらい熱い。アープオデッセイ(つまりミニモーグじゃない)あたりのレゾナンスを効かせてフィルター半閉じみたいな、いやらしいアナログシンセが大活躍なのだが、当然それは林巨匠のサックスに置き換え。やはりこの曲もAメロはウェスタン調であるが、突然Bメロでファンク寄りグルーヴになるのが渋い(またミックスが素晴らしい)。鍵盤は基本のスプリットプログラムに戻って皿回し。実は意外と音を出さない瞬間が多くて、手持ち無沙汰な曲でもあった。ところでこの曲を歌っているのは「ロイヤルナイツ」なるグループなのだが、これってタイムボカンのED「ドロンボーの歌」を歌っていたロイヤルナイツと同じ人たちなんだろうか。だとしたらものすごい振れ幅なんだけど、大丈夫なんだろうか。
「ゲッターロボ!」作詞:永井豪 作曲:菊池俊輔(「ゲッターロボ」OP)
当初想定していたのはアニメタルがやったバージョンである。あれはカッコ良かった。イントロで小河っちがフィーチュアされていたのはそういう理由なのだが、やっぱり鍵盤はスプリットプログラムでブラスとストリングスを担当。大忙しな1曲で、「もうこういうの(皿回しみたいな鍵盤プレイ)ヤだな」と思うきっかけのひとつだったのだが、ぼくデラのドラマー橋本さんがサウンドチェックでやったこの曲の演奏を聴いて「オレこの曲カラオケで歌うの大好きなの!細かいブラスやストリングスまで完璧に再現してくれてて嬉しかった~」と満面の笑みで言われてしまい、もうこういうのヤなんです!とは口が裂けても言えない状況になってしまったのだった(笑)。ささきいさおの原曲キーは菅野さんには少し低かったかもしれない。最後のはっちゃける曲なのに、ごめんね(笑)。そして「炎のたからもの」と「ゲッターロボ!」を叩き分けてくれるドラマーは服部の知る限り太郎君だけだ。太郎君はリハーサルには途中合流で、自分でサイズやフレーズを書き込んだメモを持参してきた。こんなにやる気を見せる太郎君はちょっと見たことが無いと言っても過言では無い(ただしライヴ当日は譜面をきれいさっぱり自宅に忘れてきていたが・(笑))。おかげで曲がまとまるのは早かった。また本番前の楽屋で「エア練習」を提唱。菅野さんを除く全員で太郎君のひざドラムに合わせ自分のパートを歌うというリハーサルを繰り広げたのだった(そして出番待ちの邪威暗IIさんから「それで本番もやってほしい」と言われた・(笑))。なんだかんだでバンドを引っ張っていたのは太郎君なのかもしれない…。おそるべし、秋保太郎。
※2011.03.02.追記 クラーベをモントゥーノと誤記していた。浅はか也。
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| ライヴ | 18:19 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑
コメント書くって言って、おそくなってスミマセン。
ロイヤルナイツですが、今でも活動されていて、メンバーの方にロシアとのハーフの方がいるので、ロシアでの活動も豊富だそうです。
タイムボカンシリーズでロイヤルナイツが歌ってるのは
「それゆけガイコッツ」と「進め!タイムパトロール隊」ですよ。
あとサンダーバードとGメン'75もロイヤルナイツでした。
こうやって見ると男くさいですね。意外と振り幅が少ないかも!?
なんつって
この当時のコーラスグループは、ホントたくさん活動されていて、
アニメ、TVドラマ、CMなどなど、いろんなところで名前をみます。
こおろぎ'73なんかはホントに多いですからね。
想像ですが、2,3日で1曲のペースで作成している環境だと、こういった職人の方々が
必要だったんじゃないでしょうか?
だからいろんなところで名前を見るんですよ。
ロイヤルナイツ、ハニーナイツ、こおろぎ'73など、この3グループは、
この当時の作品のイメージを丁寧に作り上げてくれたと思います。
いまはタイアップが多くて、こういった方々の存在意義が薄くなってしまってるのは残念ですね。
| ★ | 2011/03/05 13:11 | URL |