fc2ブログ

暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

「炎のたからもの」について語ってしまう

どういうわけか、最近「炎のたからもの」をよく聴いてしまう。

firetreasure.jpg


ふと戯れに作ってみた「お気に入りの曲ばかり入っているCD」(笑)に入れたのがきっかけではある。しっかしこの曲、本当に、しみじみと良い曲だ。大野雄二の仕事の中でもベスト5に入るのではないか。以前にも折々にルパン三世サントラについてあちこちに書いてきたが、この曲については書かずにいられないんだ!

メロディはウェットで音楽的な抑揚があり、ハーモニーも半音下降など取り入れメロディが持つ「情念」を引き立たせている。また歌詞も破綻が無く(全く持ってバカバカしい話だが、昨今のJ-POPなどとカテゴライズされる音楽の歌詞を聴いているとこうも書きたくなる)、単語の選択も品が感じられる。

そして何よりも大事なことは、この曲が映画「ルパン三世 カリオストロの城」のために書き下ろされた曲ということだ。レコード会社とのタイアップなどというお為ごかしで演出能力ゼロであることを暴露し続ける、90年代以降のアニメは論外としても、それではアニメ作品のためにオープニング曲とエンディング曲を誂えることが当たり前だった頃の作品がすべて素晴らしいものばかりかというと、決してそうではない。だからこそ逆説的に歌詞とメロディが劇映画を高めるために寄り添い、またひとつの独立した楽曲としても高品質であることはある意味希有な例であり、「炎のたからもの」はその奇跡的事例のひとつであることは間違いない。

またこの曲が収録された「ルパン三世・3オリジナルサウンドトラック」は全く以て音質が素晴らしい。間違いなく当時世界でもトップクラスの音だ。レコーディングエンジニアはTomiharu Iyobe氏(あぁ!絶対に有名な方なのだろうが漢字表記がわからない…。恥)。ルパン三世のセカンドシーズン(いわゆる赤ジャケット)のサントラ三枚は全て手掛けておられる。

どれくらい音が良いかというと、その自作CDに収録した曲の中でも全く色褪せずに聴くことができることが良い証明になっていると思う。ちなみにそのCDに収録されている曲は以下の通り。

Drop Shot/Ricky Peterson
For The Cool In You/Babyface
Get On The Boat/Prince
The Red One/John Scofield & Pat Metheny
Cinnamon Sugar/Fourplay
Remember The Time/Michael Jackson
Chelsea Rodgers/Prince
Memories of Mom/小曽根真 THE TRIO
炎のたからもの/ボビー
When Love Comes To Town/Herbie Hancock Feat. Jonny Lang & Joss Stone
Fill Her Up/Sting
ラヴ・イズ・エヴリシング/木村昇
突然の贈りもの/大貫妙子

内容に脈絡が無いのは無視していただきたい。とにかくこれらの曲の中にあって、「炎のたからもの」の音質は近代レコーディングのベストアンサーのひとつとして今なお光り輝いていることを実感できる。
スポンサーサイト



| 音楽雑感 | 21:58 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://acatsukistudio.blog60.fc2.com/tb.php/6-3be504f9

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT