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暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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ミュージアムコンサート

友人にして尊敬する作曲家鈴木雅光君の作品を演奏するコンサートに出かける。このコンサートの成り立ち自体がちょっと普通のコンサートではない。彼のお祖父さんにして画家にして詩人の吉見庄助氏が今年末に百歳を迎えることとなり、個展を開催している。雅光君は幼少時よりお祖父さんの作品に親しみ、この個展を機にインスパイアされた楽曲を発表することにしたという。もちろん会場はその個展会場である。インスパイアされた絵画に囲まれながら曲を聴くのだ。

今回の雅光君の作品の中に朗読が必要なものがあり、誰か紹介してもらえないか、との依頼が春先にあった。丁度今年の2月に「ドドミノ」という作品に関わったので、その作品に参加していた俳優、原西忠佑さんを紹介した経緯がある。また私と雅光君は小学校以来の仲であり、彼の家に遊びに行く度に「お祖父さんの絵」を私も何度も目にしてきた。とても明るくて生命力と想像力に溢れた絵ばかりであった。彼の筆による音楽とそれらの絵がどのように昇華し合うのかぜひとも体験してみたかったのだ。

コンサートそのものは大盛況で、むしろ会場の空調が追いつかないくらいであった。作曲者の雅光君本人が曲間に解説をしつつ、演奏される曲は普段私が慣れ親しんだフォーマットでは無いが、ハーモニーもところどころ含まれるテンションもとにかく「こいつは敵わないなぁ」と嘆息させられる音ばかり。透明感に溢れた実直な作品ばかりだった、とだけ言っておこう。

原西さんの朗読も作品に幅を持たせていた。今回朗読された詩は、吉見氏が60歳頃の作品で、若い原西さん(彼はまだ20代の半ば)が読むのは中々に手強いのではないかと思って聞き始めたのだが、これが全くの杞憂だった。原西さんの抑えた声とパフォームは返って詩の内容を聴き手に想像させる余地を生み、また吉見氏の若々しい生命力を間接的に雄弁に表現する結果となっていた。

他の演奏者のみなさんも初演独特のぎこちなさこそ感じられたが、とても真摯な演奏で好感が持てた。好感どころか「良くぞ」という気分である。やはりライヴは良いですね。
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