2011.08.03 Wed
無事終了!Keyboardist Union@仙台 Live Vol.8
KeyUni出演者としてお声がけするコンセプトとして「自分の音楽を発信している人」「その発信に鍵盤楽器が不可欠であること」のふたつがある。乱暴な言い方になるが「ピアノが上手に弾ける人」はものすごくたくさんいるけど、鍵盤が上手いから出演してくださいとはならないのである(もちろん上手いに越したことはないけど)。
こういう基準で出演のお声がけを続けていると、いくらミュージシャンがたくさんいる仙台であってもけっこう大変になってくる。鍵盤奏者だけに的を絞って開催8回目ともなるとなおさらである。それでも毎回、そして今回もやはり素直に感動できる鍵盤奏者が出現してくるのは凄いことだと言わざるを得ない。40歳過ぎたオッサンが感動するんだからホンモノである。一体KeyUniのピークはいつ訪れるのか。それはどのような高みなのか。主催している側としては楽しみであり、ひとりの鍵盤奏者としては空恐ろしくもあり。

ライヴのオープニングでは全出演者をまずご紹介

鈴木雅光(鈴木雅光グループ)
今だから言うが、雅光君と服部とは小学校以来の付き合いである。だがその前に演奏者としても作曲家としても音楽教育家としても尊敬すべき男である。前々から客席には来てくれていたが、今回ようやく重い腰を上げてステージに上がってくれた。そして友人として言うならば、今回演奏した曲はどれもこれも鈴木雅光のごくごくエッセンシャルな音楽ばかりであった。そのことからも彼の本気度が伺えて嬉しい。また鈴木元(Bs)、行方基朗(Dr)両氏の好サポートも素晴らしかった。行方君は以前HHM(服部・橋元・幹)のドラマーとして出演してもらった過去があるのだが、今回は以前にも増して良かった。パーカッショニストとドラマーのいいとこ取り。

橋元成朋・古山世梨佳(Chang-Seri)
数回前から初めて出演していただく方だけでなく、過去に出演してくれた仲間にも改めて出演してもらっている。時間を置いて成長した部分を披露してもらいたいという意味もあるが、客席で聴いてるだけじゃ欲求不満になるでしょ?という意味もある。今回は古山世梨佳氏がちゃんもつさんと組んで打ち込みプログレを披露。世梨佳さんは4分の4拍子だと拍を見失うという特異体質の人である。リハーサルでも奇数拍の変拍子曲のメロディは完璧に覚えてきたそうだが、普通の曲になるととたんに怪しくなのである(笑)。7センチくらいのヒールを履いてペダルを踏む姿も勇ましい。そんな世梨佳さんの魅力を引き出すために、今回の演奏曲はちゃんもつさんがかつて一番濃くプログレを演奏していた頃の作品を敢えてチョイスしていた。服部が初めてちゃんもつさんの演奏を聴いた頃の作品。感無量である。

北田了一(Back to the Basic)
盛岡からのゲストではあるが、北田さんの活躍する範囲はすでに東北一帯と言っても良かろう。KeyUniの翌日、ある鍵盤奏者が「あの人からはもう何かを学べるレベルじゃないね。ただひたすらスゲエって口をあんぐり開けて聴いてるしかない」と言っているのを耳に挟んだ。色々と悩んだらしいが、ジャズ・クロスオーバー時代の名曲を極上コンディションのローヅスーツケースで弾きまくり。CrybabyもSmallStone(しかもロシア製)も当然完備。極楽。安ヶ平勇人(Dr)、佐藤弘基(Bs)の両氏とのコンビネーションはすでに円熟の域(と書くと嫌がられそうだけど(笑))。北田さんは服部の心の師匠のひとりなのである。客席で全身耳になって聴きました。

沼倉希美
終演後彼女との別れ際に「有名になっても(KeyUniに)遊びに来てくださいね」と言った。雅光君は彼女の曲を1曲聴いたら楽屋に戻ろうと思っていたが、全部聴いてしまったと言っていた。楽屋のモニターテレビで彼女の演奏を聴いていた北田さんをはじめとした出演者は「このままデビューしちゃえばいいのに」と口々に言った。彼女の曲も演奏も非常に普遍的なポップスだが、普遍的なポップスを歌い、演奏することがどれだけ難しいことか客席で気付いた人はどれくらいいるだろうか。そして彼女のパフォームは聴き手にそんな難しいことは考えさせないだけの力があるのだった。加えて言うならば、秋保太郎(Dr)、森木啓太(Bs)両氏のリズムセクションは仙台の宝である。
毎度お馴染のラストの大セッション大会の曲目は「One Note Samba」。雅光君が緻密にアレンジを施してくれたおかげで、熱さと涼しさが同居したようなこれまでとは一味違うアンサンブルになった。メロ譜が2種類、構成表が1枚。アレンジャーってここまでやるんだなって感じ(ちょっと違う(笑))。



秋保太郎君、森木啓太君、行方基朗君がバックで支えてくれた。さりげないがこれもすごいメンツ。贅沢
さて服部は幕間演奏でクレジット。鍵盤奏者中心のライヴなのでバンド転換にはどうしても時間がかかる。その間MCだけでなく生演奏もしようという試みであるが、今回は思い切りわがままを言ってみた。北田さんに伴奏してもらって1曲吹きたい!とお願いしたのである。北田さんは快く引き受けてくださって、心の師匠に伴奏させて鍵盤ハーモニカをベロベロ吹きまくるという「オレ様企画」があっさり実現したのが服部的な大トピック。どうせならいやらしくやりたいと思ったので、曲は「Georgia on my mind」。開演前のサウンドチェックの時に「北田さん、思いっきりいやらしくやりたいんです」「お、いいよ」の10秒で打ち合わせ終了。すっごく楽しみだったのに本番は緊張した~~~っ(笑)!打ち上げの席で「テンパッててすみませんでした」と謝ったら「そう?おお~!キテるなぁって思ってたけど」と褒められた(?)のでもうそれだけで充分です。もう1曲は今度のニューアルバムにも収録予定の「entrust」という曲をソロピアノでご披露。それを聴いてた雅光君から後日「あんな風に弾けるなんて思わなかった。あれ、採譜してもいいよ。良かったよ」と言われて昇天(笑)。

心に余裕の無いGeorgia(笑)

北田さんのあとにピアノソロをやるなんて、と鍵盤に向かってから気付いたがもう遅い(笑)
優れたパフォーマーが集まれば自然に良いライヴイベントになるわけではない。出演者が同じ方向を向いてパフォーマンスを心がけるから良いライヴイベントになるのだ。KeyUniはその点本当に恵まれたイベントになった。そして最近では「KeyUniで見ましたよ」とか、ミュージシャン仲間同士でも「以前KeyUniの○○さんのバックで出たんです」などという話も多くなってきた。KeyUniのコンセプトのひとつに「鍵盤奏者同士のネットワークを広げる」というものがあるが、ある程度の達成と広がりを実感できるようになってきた。客席に聴きに来てくださるお客様に大感謝である。またこれまで出演してくれた鍵盤奏者各位はもちろん、制作のベースになっているLivehouse ennのスタッフ諸氏、特にKeyUniの制作の中心でがんばってくれている星君に感謝したい。
次回Vol.9は2月24日(金)の予定である。なんと来年の夏にはVol.10だ!

L>R 鈴木雅光、服部、北田了一、橋元、古山世梨佳
おつかれさまでした。本当にありがとうございました
※2011.08.05.追記 ちゃんもつさんのブログにもっと画像ありまっせ。あちらは時系列で書かれているのでより当日の様子をイメージしやすいかもです。
| Keyboardist Union@仙台 | 00:52 | comments:8 | trackbacks:0 | TOP↑
それにしても毎回層の厚いライブで刺激的でした。
どのユニットも素晴らしい演奏で感動の嵐!
フュージョンではなくクロスオーヴァーのニュアンスが届いたようで何よりでございます。
まさしく「Back to the basic」のコンセプトでした。
盛岡でも出来るように頑張ってみます。
ありがとうございました。
| りちあど | 2011/08/03 06:52 | URL |