暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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La Passioneの録音作業を振り返る・3

ハードウェアシンセを思ったほど使わなかったことを・2に書いたが、反対に思った以上に出番が多かったのが空間系エフェクト用ハードウェアである。具体的にはENSONIQ DP/4とSONY MP5。

ensoniqdp4.jpg
師匠から譲っていただいた重要文化財級機材

sonymp5.jpg
ギター小僧だった頃にとても重宝した安い機材だがリヴァーブシミュレートの密度は高い

DP/4は当時30万円以上した業務用デジタルエフェクタで、デジタルマルチエフェクタ4台をひとつの筐体に突っ込んだ的な乱暴なハイエンドマシン。だが4ユニットも内蔵することで「真のマルチエフェクタ」になったとも言える。同種機材の代表選手としてYAMAHA SPXシリーズがあるが、あれは1台でリヴァーブにでもディレイにでもなれるが、EQの後にディレイをかけてそれをリヴァーブに送るなんてことはできず「マルチ」な機能を「単体」で呼び出して使用するという仕掛けになっている。一方DP/4は4ユニット内蔵だからコンプをかけてそれをディレイに送り、ディレイ音とダイレクトを半々にして最後にリヴァーブをかけると言った荒技が可能になる。

MP5も2ユニットの仕掛けなので同様のことができる。このディレイをかけた上にリヴァーブをかけるのが服部はとにかく滅法大好きなのだ。まぁ現代のメインストリームのミックス処理とは10万光年くらいかけ離れているが、どうせ自分名義のセルフプロデュース作品。むしろこれくらいやった方が差別化できていいじゃん(笑)的な。

しかしながらディレイ→リヴァーブが好きだからプラグインよりもハードウェアという流れではない。単純に今服部が使っているプラグイン空間系エフェクタよりも、より濃密なリヴァーブ音が得られるからDP/4でありMP5なのである。この辺は実際の作品を聴いていただいても分かりにくい部分だとは思う。また普段からミックスをin the box(パソコンの内部処理だけでミックスダウンを行うことをこういう)でミックスダウンしている人でも分かりにくいかもしれない。3種類入って数十万円なんて価格帯のプラグインは別なのかもしれないが、やはり10年前くらいの専用ハードウェア機の実力は侮れないものがある。

同じように代替がきかないのがコンプレッサーだ。当暁スタジオには国宝級のコンプレッサーdbx 162があるので、今回はドラムのトップ(ドラムセットの上方にセットしたステレオペアのマイク)のトラックにきつめにかけてダイレクト音とミックスしたりした。これもやはりプラグインとは違う効果が得られる。

dbx162.jpg

個人的にこれらハードウェア機によってもたらされる効果の秘密は、アナログ回路を通すことで得られる「滲み」にあると思う。デジタルドメインで処理される空間系やダイナミクス系の効果は、あまりにも前に立ち過ぎる。ハードウェア機は音の消え際やリヴァーブ音そのものの滲み具合が非常に音楽的であり、あまり策を弄さなくてもデジタルの音を良い意味で太くしてくれるのだ。
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