暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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La Passione楽曲解説・11「Requiem」

これもKeyboardist Union@仙台のライヴ用に書いた曲。冒頭の4分音符3つ、こんな単純な音形からメロディを展開できるか実験してみたのだが、その後に続くメロディもハーモニーも実に陳腐なものになってしまった。反省と後悔からしばらく曲そのものを忘れていたのだが、このアルバムを作るにあたり自作曲を整理していて存在を思い出した。改めて演奏してみると定型の要素ばかりではあるが、「よくある音をよくある形にまとめる」ということにも挑戦してみる価値があるのではないかと思い直した。となるとこの手の音楽のお手本はイージーリスニングであり、イージーリスニングと言えば自分にとってはポール・モーリアとイコールである。

ポール・モーリアと言えば鈴木雅光君である。今作のゲストとして北田さんのように鍵盤奏者が鍵盤奏者を呼ぶという冒険をしたように、この曲では雅光君にストリングアレンジをお願いした。打ち込み音楽作家がアレンジを第三者に依頼するというのもまた同じくらいの冒険と言えよう。

どこも難しい要素の無い曲だし、彼なら楽勝で出来上がると踏んでいたがさにあらず。彼の頭の中ではものすごい量の計算、アレンジの葛藤が行われていたのだ。雅光君曰く、先に録音されている服部のピアノ演奏がコードネーム以上のテンションノートを気ままに加えているため、不用意にストリングスのラインを作るとすぐに音がぶつかりあってしまうという。「誰かのアレンジに1パートだけのアレンジで参加するのは本当に難しい」という雅光君の感想は流石というしかない。

結局ストリングスセクション(とは言ってもサンプラーなのだが)のダビング作業は最後になってしまったのだが、逆にそれが奏功した。難航したストリングスアレンジは秋保太郎君と佐藤哲君のリズムセクションを録音したあとの仮ミックスを聴いてもらったらあっと言う間に出来上がったのである。生音の説得力ということももちろんあるが、彼らの演奏がぶれることなく一点突端の筋が通った演奏だったからということも大きいはずである。

秋保、佐藤の両名による演奏が想定よりもロックンロールな感じになったことも、トラッドなストリングスセクションとの良い対比になっていると思う。特筆すべきは哲君のベースで、太郎君のドラムを録音した直後の未完成音源に自宅でダビングしてくれたものである。彼は横浜在住なので私が録音に立ち合うことはできず、音声ファイルのやりとりだけで完結した。ライヴステージでの初演時が太郎君と哲君のペアだったのでどうしてもお願いしたかったのだが、過去に一度だけ演奏したことがあるとは言え、ここまで的確なプレイで応えてくれるとは。「弾いてください」「ファイル送ります」というやり取りだけで、である。そしてここまで分厚いバックの演奏でも芯の太いフルートを演奏した林巨匠もさすがである。この曲も服部が演奏しているのはピアノのみで、鍵盤奏者としてちゃんとアンサンブルに貢献できているのかやや自信が無い(笑)。次回作に生かすべき点であろう。

Drums : 秋保太郎
Electric Bass Guitar : 佐藤哲
Flute : 林宏樹
Strings Arrangement : 鈴木雅光
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