暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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想像力が枯渇していく恐怖

旅プロのテーマ曲にいろいろと手を加えている。

具体的にはアナログシンセライクな音色で色々加えたいのだが、現在暁スタジオにあるアナログシンセは不調のものが多く、じっくり音色作りができる状態ではない。そこで仕方なくプラグインシンセでどうにかしたのだが、驚くのは自分の想像力の劣化具合である。

と言うのもアナログシンセの実機を使う場合、モジュレーション系だったり空間系だったりのエフェクトを加えて初めてオケと馴染ませることができる。大方の場合音色をあれこれ調整している段階ではそんな面倒くさいエフェクト処理は後回しにして、ひたすら裸の音色で曲にマッチしているか確認し続けることになる。

実はこの工程にはものすごく想像力を使う。「ブビー」とか「ヒャー」という波形モロダシな感じのシンセサウンドが曲想にマッチしているかということは、実際に録音してみてエフェクト処理を行い、音量・音像バランスを調整してみるまでは結局わからない。むしろ元の音がエフェクト処理その他でどんどん変容していく過程にこそマジックが潜んでいるのである。そのマジックが起こることを信じてつまみを動かすのが醍醐味と言えば言える。何よりも「この音をあれであれくらい滲ませて最後にディレイで左右に飛ばしてうっすら鳴らせば絶対にハマるはず!」と言う読みがばっちり当った時の快感たるやなんと説明すれば良いだろうか。

別の視点から言えばシンセサウンドのエディット作業に没頭するシンセシストというのは、オーケストラのスコアを読み解いてトライアングルの奏法を考えるパーカッショニストと近しいとも言えよう。これは音楽演奏家だけでなく、作曲家、アレンジャー・・・いやいや、創造的な仕事に携わる人にとって非常に重要な能力だ。

ところがプラグインシンセときたらどうだ。そもそも発音エンジンは同一DAW上のオーディオトラックと同じものだから、音色キャラクター的に突出していない代わりに、最初から馴染みがそもそも良い。しかもエフェクト系は最初からてんこ盛りである。初めから出来上がり状態のようなクオリティで音色の良し悪しを判断できてしまう。このことが音楽家から想像力を徐々に奪ってしまう。マイルズ・デイビスも言っていた。

「想像力が無いってことは才能が無いってことだろ。違うか?」
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