暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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S90XSの音色選びで四苦八苦

12月17日、とあるイベントに鍵盤奏者として参加する。久しぶりにS90XSを現場に持ち出すわけだ。えよっこいしょっと。

今回は音色をとっ換えひっ換えみたいなことはやらない予定なのだが(まだリハーサルをやってないからわからないけど)、曲によってはどうしてもブラスサウンドがあった方がいいとか考えてしまう。シンセサイザー奏者とは因果な生き物だ。そもそも「色々な音を出せる」ということ自体が実は良くないのかもしれない。確かに「曲の世界観に沿って的確な音色で演奏すること」に命をかけていた時期もあったが、今現在はあまりそうは思っていない。

ここ数日夜な夜なS90XSに向かって弾いては音色を換えてみてということを繰り返しているのだが、相変わらずヤマハのSシリーズのPA乗りに確信が持てないままだ。何度か書いたがヤマハのシンセ(のピアノプログラム)は、ピアニストが鍵盤に向かって演奏する時に演奏者が聞いている音色をリファレンスにしている節がある。でも聴衆はそんな場所で聞くことはできない。ピアノから何メートル、場合によっては何十メートルも離れた場所でピアノの音を聞くことになる。ここに鍵盤奏者とそうでない人において、ヤマハシンセのピアノプログラムを聞いた時の評価の乖離がある。まぁ演奏者を第一に考える姿勢は素晴らしいと思うが。

増してやPAを通した場合なおさらだ。PAを通す場合多くはピアノ本体の中にマイクを突っ込み、弦の近くまでそのマイクを寄せて収音する。ただでさえ大音量のソースが溢れるステージ上でピアノ以外の音を拾わないための処置なのだが、実際にはピアノ弦に耳をそばだてて聞くなどという事態はピアニストであれ聴衆であれほぼ100パーセントありえない。

だが実際に我々がよく耳にするのはこうやって収音され、電気音響機器で調整・拡声されたピアノサウンドが多いわけで、その現実がますますヤマハシンセのピアノプログラムサウンドへの違和感を加速する…。と言うのは大げさだが、電子鍵盤楽器演奏者としては最終的に「聴衆に音が届くところ」まで気にするべきじゃないだろうか。もし必要であればPAオペレータさんと納得行くまで話し合うべきだと思う。レコーディングエンジニアはピアニストから「こんな音をオレは出していない」とNG食らって何度もマイキングをやりなおすことがあるという。

ただし別の言い方をすればヤマハシンセのピアノサウンドは素材として加工しがいがあるとも言えるわけで。それに「演奏者が演奏時に聞いている生ピアノの音」を目指すその態度はヤマハ電子鍵盤楽器の音色的個性になっているとも思う。でもなぁ、音色選定やレイヤーサウンドのバランスを取る時は聴衆に届く状態でチェックしたいなぁというのもまた本音。

swingdacor.jpg
そして譜面を書いている
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