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暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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やっぱりハードウェアシンセが必要だという話

電子鍵盤楽器の存在価値はどこにあるかと考えた時、私はデジタルシンセならD/Aコンバータ、アナログシンセならアンプを含めた回路全体であると思う。楽器と言う観点ではこれらの差異は大きければ大きいほど良い。楽器選びも含めて演奏者の能力なのだから、どういう音質のどういう楽器を選択するかという問題は実はけっこう大きい。またこの差異があるからこそ、万人がチープだと認めるシンセでも、ある一人にとってはかけがえの無い相棒になる可能性もあるというものだ。

ただハードウェアシンセを音楽制作環境の一要素として見ると、現在大多数の人が制作の中心に据えるDAWとの親和性=利便性という意味ではソフトウェア音源に数歩劣るのも事実である。Cubaseを擁するYAMAHAは、同社のフラッグシップシンセMotifでこの親和性を向上させようと努力はしているものの、各メーカー間に存在する「個性=異なる在り方」もハードウェア楽器導入の重要な選考点でもあり、正直決定打になるとは思えない。この一点に限って言えばOPCODEのGalaxyやEMAGICのSoundDiverと言ったハードウェアシンセのエディター及びライブラリアンソフトを介してシステム管理を行っていた頃から退化してしまったと言えなくもない。

どんなにDAWとの親和性が高くても、ソフトウェアシンセ類の出音がオーディオインターフェイスに依存する以上、音質的傾向は同一になってしまう。自分の過去の音源を聴きなおすと、シンセばかり鳴っているにも関わらず、現在の作品のミックスよりもひとつひとつの音色の分離が良い場合がある。(録音媒体の差異を無視しても)これはやはり複数の回路・コンバータを経由している恩恵だと思う。

幸い自分の作る音楽は「生演奏であればあるほど良い」という性格のものであるし、鍵盤と音が体感的に一致するハードウェアシンセは演奏していてとても気持ち良い。「音」と「利便性」を天秤にかけても利便性の方に大きく傾くことは今後も無いだろう。


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