2012.05.09 Wed
「Room401」制作リポート2
Room401というオリジナル曲の制作過程をリポートするシリーズ第2段。イントロ~Aメロ~Bメロ~Aメロ戻りまではスケッチ終了。特に断り無く「スケッチ」と表記しているが、DAWを使用した音楽制作のごく初期の作業を私は絵を描く際のスケッチのようなものと捉えている。素早く対象(曲)の本質を捕らえ、作者なりに理解するためのエスキースであると考える。もっともどこまでがスケッチでどこからがポストプロダクションなのか、昨今の音楽制作ではますますその境目は曖昧なのだが。
<ステップ4 イントロを肉付け>
とりあえず曲全体のサイズを明らかにするよりも、曲のパーツごとのディテイルを明らかにしたくなってきた。とりあえずイントロに加えたいフレーズを入力してしまう。金属系の音色が良いのだが棚引いて消えるふわっとした音色も同時に鳴っていてほしい。最終的にふわっとした音色はハードウェアアナログシンセで弾き直すかもしれないが、手っ取り早く金属系もパッド系もプラグインシンセで。せっかくの独立した音源をそれぞれ入力してのレイヤーサウンドなので、デュレイションはそれぞれに工夫した。具体的には金属系はさっさと退場、パッド系のトップノートをぎりぎりまで伸ばす。
例えばこの「音をどこまで伸ばし、どこで切るか」ということは演奏上もアレンジ上も大変重要な問題である。ライヴでは無意識にやってることだが、ことレコーディングだと急に頭を悩ませることがある。できるだけライヴとレコーディングの境界線無く演奏できるようにしていきたいものだ。もっともシンセサイザーの場合、音の切れ方(発音の停止)そのものまでプログラムという作業に含まれるのでやっかいだ。きちんと設計して演奏し、音色を差し替えたら結局弾き直し、なんてことは茶飯事である。この「いつでもどこからでも以前のプロセスに立ち戻れる」のはDAWを使った音楽制作の最大の利点であり問題点である。テープメディアの頃は「弾き直し」にものすごく抵抗があったものだ(笑)。
<ステップ5 リズムセクションの手直し>
エレピのハーモニーとイントロのパッドなどが鳴り始めると、そこそこ曲の厚みも増してくる。すると気になってくるのがドラムの「他人事感」(笑)である。そりゃそうだ。音程のあるパーツがまったく鳴っていない状態で打ち込んだドラムなのだから。またこの曲は生ドラムっぽい「てきとー感」が重要になってくる。数小節の繰り返し的な「律義さ」は曲の温度を悪い方に下げることになる。さてこれをどうしよう。キックとベースのコンビネーションはざっくり打ち込んだ状態でもそんなに悪くない。ハイハットとタンバリンがケンカしているように思えたのでパンニングと音量調整で分離させる。とたんにスネアがくっきり聞こえるようになった。
私が愛用するAddictiveDrumsというプラグインドラム音源の音色的クセなのかもしれないが、やや中域がトゥーマッチな印象があり、この状態にキット全体に不用意なコンプレッサー処理などしようものならスネアが遠くに行ってしまうことが多い。実は生ドラムを録音してもこういう状況になることがあり、逆に言うとaddictive drumsには生ドラムの音質調整の知識・技術がそのまま転用できるのだ。とは言え曲調やいっしょに鳴っている楽器との兼ねあいがあるので、いつもと同じEQカーブにすれば楽勝!みたいなことでは決して無い。ともあれスネアが前に出てこない状況を打破すべくセット全体の中域を広い範囲でややカットし、スネア単体のEQは単純にハイ上げしてみたところ、まぁ許せる状態にまでなった。
この状態でどうしても必要なフィルなどをいくつか打ち込んで何度も頭から曲を聴いてみる。これでようやくドラマが生まれたような気がする。DAWを使うようになって以降、20年近くかけてゆっくりと音楽制作にかけられる集中力や想像力が衰えてきている(老化じゃない!と思う)。ここまでパーツを揃えてやらないと全体の構成をイメージできにくくなってきた。負け惜しみで言うが、ここまでくれば全体を把握するのは早い。必要な音色や音数もだんだん見えてくる(聴こえてくる)。ここからが腕の見せ所である。というところで次回に続く。
<ステップ4 イントロを肉付け>
とりあえず曲全体のサイズを明らかにするよりも、曲のパーツごとのディテイルを明らかにしたくなってきた。とりあえずイントロに加えたいフレーズを入力してしまう。金属系の音色が良いのだが棚引いて消えるふわっとした音色も同時に鳴っていてほしい。最終的にふわっとした音色はハードウェアアナログシンセで弾き直すかもしれないが、手っ取り早く金属系もパッド系もプラグインシンセで。せっかくの独立した音源をそれぞれ入力してのレイヤーサウンドなので、デュレイションはそれぞれに工夫した。具体的には金属系はさっさと退場、パッド系のトップノートをぎりぎりまで伸ばす。
例えばこの「音をどこまで伸ばし、どこで切るか」ということは演奏上もアレンジ上も大変重要な問題である。ライヴでは無意識にやってることだが、ことレコーディングだと急に頭を悩ませることがある。できるだけライヴとレコーディングの境界線無く演奏できるようにしていきたいものだ。もっともシンセサイザーの場合、音の切れ方(発音の停止)そのものまでプログラムという作業に含まれるのでやっかいだ。きちんと設計して演奏し、音色を差し替えたら結局弾き直し、なんてことは茶飯事である。この「いつでもどこからでも以前のプロセスに立ち戻れる」のはDAWを使った音楽制作の最大の利点であり問題点である。テープメディアの頃は「弾き直し」にものすごく抵抗があったものだ(笑)。
<ステップ5 リズムセクションの手直し>
エレピのハーモニーとイントロのパッドなどが鳴り始めると、そこそこ曲の厚みも増してくる。すると気になってくるのがドラムの「他人事感」(笑)である。そりゃそうだ。音程のあるパーツがまったく鳴っていない状態で打ち込んだドラムなのだから。またこの曲は生ドラムっぽい「てきとー感」が重要になってくる。数小節の繰り返し的な「律義さ」は曲の温度を悪い方に下げることになる。さてこれをどうしよう。キックとベースのコンビネーションはざっくり打ち込んだ状態でもそんなに悪くない。ハイハットとタンバリンがケンカしているように思えたのでパンニングと音量調整で分離させる。とたんにスネアがくっきり聞こえるようになった。
私が愛用するAddictiveDrumsというプラグインドラム音源の音色的クセなのかもしれないが、やや中域がトゥーマッチな印象があり、この状態にキット全体に不用意なコンプレッサー処理などしようものならスネアが遠くに行ってしまうことが多い。実は生ドラムを録音してもこういう状況になることがあり、逆に言うとaddictive drumsには生ドラムの音質調整の知識・技術がそのまま転用できるのだ。とは言え曲調やいっしょに鳴っている楽器との兼ねあいがあるので、いつもと同じEQカーブにすれば楽勝!みたいなことでは決して無い。ともあれスネアが前に出てこない状況を打破すべくセット全体の中域を広い範囲でややカットし、スネア単体のEQは単純にハイ上げしてみたところ、まぁ許せる状態にまでなった。
この状態でどうしても必要なフィルなどをいくつか打ち込んで何度も頭から曲を聴いてみる。これでようやくドラマが生まれたような気がする。DAWを使うようになって以降、20年近くかけてゆっくりと音楽制作にかけられる集中力や想像力が衰えてきている(老化じゃない!と思う)。ここまでパーツを揃えてやらないと全体の構成をイメージできにくくなってきた。負け惜しみで言うが、ここまでくれば全体を把握するのは早い。必要な音色や音数もだんだん見えてくる(聴こえてくる)。ここからが腕の見せ所である。というところで次回に続く。
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| レコーディング | 20:06 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑