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暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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ホイールか、スティックか。

高橋督のブログで触れられていた話題。すなわちシンセサイザーに於けるピッチベンドとモジュレーションのコントローラーとしては、ホイールタイプが良いのかジョイスティックタイプが良いのか、という問題である。

筆者が初めて「自分のもの」として入手したシンセサイザーは高校の入学祝いに祖母に買ってもらったKORG POLY-61である。当時としては珍しい4方向ジョイスティックを装備していた。高校生なんていう年ごろだったこともあり、POLY-61はとにかく弾きまくった。おかげですっかりホイールコントローラーに縁遠くなってしまった。もちろん今はどちらでも良い。どちらにも利点と欠点がある。

POLY61.jpg
筆者のファーストシンセKORG POLY-61
 EPS16+1.jpg 
どちらかと言うとこちらが王道か
ENSONIQ EPS16+

私の考えでは、ジョイスティックタイプは細かい表現に向いている。ピッチをしゃくり上げつつビブラートなんていうのはジョイスティックの方が断然やりやすい。しかしいかにもシンセらしい、急激なピッチやモジュレーション変化で演出する電子音やSEなどの場合はホイールタイプだろう。前者ならギターライクなシンセソロやエスニック系のピッチ変化を加える時は断然雰囲気を出しやすいし、後者ならビブラートをビヨビヨにかけたまま2オクターブ下降していくソロとか、ホワイトノイズで風のSEを出すなんて場面を想像してみてほしい。

例えば同じ系統の音色でも、コントローラーが異なることによって演奏する内容が違ってくるなんてことがあると思う。別の例では私はオルガン系の音色を多用することがわかっている場合は、ホイールタイプのコントローラーを積んだシンセを持っていく(以前そのためだけにENSONIQ EPS16+を持っていったなぁ)。道具で気分が変わるという側面はあるだろう。

ちなみに同じジョイスティックに分類されるが、Rolandのものは私はあまり評価しない。ピッチはともかく、モジュレーションに関しては上方向しかない無いため機能が制限される上に、ストローク長が短く、あれではON/OFFにしかならない。理想的なのはClavia社の、例えばNord Lead。ピッチはジョイスティックの発展系でモジュレーションはホイール。ピッチコントローラーの繊細な動きは実に人間っぽい。大好きだ。持ってないけど。
section_2.jpg 
nordlead2Xのモジュレーションホイールと
ピッチベンドスイッチ。
木製ってのが渋い!
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| 機材 | 23:26 | comments:8 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

これねぇ、意見の分かれるところで…。
私はホイールじゃないとダメな人だったりします。
私のホイールでの設定は、7!つまり5度なんす。(上下独立設定出来る機種なら、上7下12かな。(アームダウン!)
まぁ、好みですね。ギターで言うところの、フロイドローズ派?それともケーラー派?ってなところっすね。
私が「姫神」で仕事してた頃は、星さんがスティックじゃないとダメなんで、KX76を改造しました。
各社、ピッチベンド&モジュールに関しては、オプション設定をしてくれればいいのに。(別売り交換とかね。YAMAHAには提案した事がありましたけど…。)

| SAKASHITA | 2012/06/10 23:40 | URL |

◇SAKASHITA様
いや、ねぇ。分かれますよねぇ。ヘタレな私は上下とも2、つまり1度です。非常に無難な設定ですし、ギターの気合いの入らないチョーキング程度なら問題ないですし、モジュレーションコントローラーに頼らない人力ビブラートもだいたいこの程度がやりやすいと思います。

でも確かチック・コリアって1度半に設定してるらしいですよね。ハービーも多分1度じゃなさそう。ということでヴァリューを3に設定していたこともあるのですが、どーにもこーにも性に合わなくて2に戻したという…。

その改造KX76はオレにとってベストなライトウェイトタッチマスター鍵盤ですね!どこのスティックを移植したんですか?パーツひとつひとつからオーダーメイドですか?確かにメーカーも両方用意してくれればいいのになぁ。オレ的に理想はClaviaの木製ピッチベンドなんで、あれが搭載されてるKORG KRONOSが今のところ最上のシンセってことになりますね(笑)。

| 服部暁典 | 2012/06/11 23:33 | URL |

星さんは、3でした!
改造は、とりあえずKORG M1のヤツを入手し、作業しましたが…。
結局、純正ホイールの「縦」を「横」にして、窪みに棒を付け加えたのが、しっくりしたようでした。モジュレーションは、単純にボリュームつまみをつけて、回してコントロールという…。リアルタイムとはかけ離れた感じがOKという事でした。
個人的に、Claviaの木製ピッチベンドは、嫌いじゃないのですが、アクティブなアップダウンが出来ないので、結局ホイールがやり易いという…。

| SAKASHITA | 2012/06/14 22:45 | URL |

◇SAKASHITA様
あ~、なるほど。いやでも四六時中シンセに触っている人の発想だなぁと思います。すごいなぁ、その感覚。

確かにClaviaのピッチベンドコントローラーはホイールとは違うアプローチですね。言わばチョーキング。アームダウンはやっぱりホイールみたいに可動範囲が広いコントローラーの方がしっくり来ますね、うん。じゃあ両方搭載が理想かって言うと、結局どっちかしか使わないのかもなぁ。

| 服部暁典 | 2012/06/15 09:05 | URL |

えー、私の発注仕事で恐縮ですが、ギター的な感じのファイルです。
http://homepage2.nifty.com/cinebossa/sound/gandai_master.mp3
某アーティストの構成をなぞり、インストにてという発注内容でした。(仮にU3という名前にした。もうバレバレ!)
音色はMOTIF ES一発です!結構ギターがイケル!
最後のソロは、エキサイト前にとどめました。
恥ずかしながら公開という事で。

| SAKASHITA | 2012/06/16 21:03 | URL |

◇SAKASHITA様
すごいすごい!S90XSのギター系プログラムを弾いて「けっこう似てるけど、まぁこれなら本物を弾くな」とすっかり怠けていたんですが、ちゃんと弾くと全然いけますね!YAMAHAシンセのギター系。音色がイケルということよりも、SAKASHITAさんの丁寧なお仕事に感服。でも多分ベンドレンジはオレ、2のままだと思います(笑)。

| 服部暁典 | 2012/06/16 22:23 | URL |

リボンコントローラー

はじめまして、小さなスタジオを持っているサラリーマンです。

コルグはデルタ、ラムダでジョイスティックにはお世話にになりました。デルタはてばなしましたが、ラムダはまだ現役です。

ホイールは、ヤマハ CS70M コルグモノポリで使用します。リボンコントローラーはポリモーグの物を使ってますが、ある意味いい加減で、指でなぞる原始的なやり方が気に入ってます。

| アナログ K | 2012/07/11 14:18 | URL | ≫ EDIT

◇アナログ K様
ようこそようこそ!またストライクながら渋いチョイスの型番ばかりですね(笑)。

私の記憶ではラムダ、デルタあたりのものとPOLY-61ではスプリングの張力が違っていて、POLY-61起点の自分にはラムダ、デルタあたりは「手応えが無さ過ぎる」って感じでした。ラムダ、現役ですか(笑)。メンテにハラハラしちゃいますね。

リボンコントローラーはJP-8000でようやく手に入れたのですが、自分とはあまり相性が良くないようです。多分サイズが小さくて、調整が難しいんでしょうね。もう少し左右に長ければ、少なくともフィルターの開け閉めくらいには重宝しそうだったんですが。そうこうするうちにEPS-16+のデータフロッピーを入れたケースを落っことしてしまい、リボンコントローラー部分を直撃。ユニットごとそっくり入れ替えでした。費用は忘れてしまいましたが、確か数万円で何とかなったような。

| 服部暁典 | 2012/07/12 00:11 | URL |















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