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暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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「方丈の海」の音楽ができました

Theater Group OCT/PASS「方丈の海」の音楽、OKを頂戴した。やった〜!

前回もそうだったが、今回も台本を無視して作っている。正確には無視じゃなくてどっぷり縛られているのだが、台本に書き込まれている「ここで音楽」という指定は意識していない。ひたすら台本を読んで受けた印象を音楽としてまとめることに徹した。

とは言え制作していくにあたり全く自由に考えていてもカタチになっていかない。毎度のことながら何か拠り所となるものが欲しくなる。前回の『風来~風喰らい 人さらい~』では「疾走感」というキーワードとアコースティックギターのカッティングだった。今回はなんだろう。これがけっこう苦しかった。

そもそも今作、東日本大震災とそれによって引き起こされた津波による被害を真っ正面から演劇に落とし込んだものになる。程度の差こそあれ、あの震災を体験した者としていつかは作品として何かしなければならないと思ってはいたが、そんな大きく苦しいテーマ、中々取り組もうと思っても取り組めるものではない。どうしようどうしようとあれこれ考えているうちに、ある事情で公演が延期された。劇団にとっても裕人さん(OCT/PASS主宰者)にとっても非常に大変な出来事だったのだが、音楽制作者としては、この延期されて生まれた時間に気持ちをきちんと調整できたということは言える。

と言うのもその間実際に気仙沼、南三陸町、女川などを何度か自分で「そのつもりで」訪れることができたからだ。そのうちの一回を別のブログにアップしているが、とにかく人間の生活の脆さと自然の力の大きさを肌で感じることができたことは、今回の音楽制作にものすごく大きく影響している。

本当はもう少し詳しく書きたいが、芝居の幕が上がる前に音楽制作の裏話をあれこれと晒すとお客様の目を曇らせる可能性がある。ま、OCTにそんな心配は無用かもしれないが(笑)。でもやっぱりなるべくまっさらな気持ちで舞台を見ていただきたいので、公演が始まるまで詳細は書かないことにする。

ひとつ言えるのは、東日本大震災をテーマにすることを無意識のうちに私は避けていたと思う。しかし今回裕人さんに首根っこ捕まえられてやれ!やれ!と責め立てられた…というのが本心なのだが、もちろん裕人さんに罪は無い(笑)。「やります」と答えたのは自分なのだから。とにかく得難い機会をいただくことができた。裕人さんありがとうございます。

ところで8月4日の本日、道具やセットを作っている稽古場でお時間を頂戴して裕人さんに音源のプレゼンを行ったのだが、裕人さんの後ろにさりげなく、OCTの期待の若手のひとり荒野紘也さん(だったよな…。視界のぎりぎり端っこにおれらたので確認できなかった。違ってたらごめんなさい)が、じっと耳を傾けていてくださった。音楽を作る立場の者として、こういう反応はとても嬉しいし励みになる。役者さんに音で何か影響を与えなければ、わざわざ作品のための音楽など作る意味が無いと思っているのだが、役者さんがきちんと音楽を拾ってくださるのがわかるのは、やはり作り手として嬉しい。あとはお任せします。音楽を従えて思う存分やってくださいな。

※2012.08.05.追記:裕人さんのブログで褒められました!。
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| レコーディング | 23:55 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

昨日の稽古で、拝聴しました!

 素敵でした!

 涙腺が刺激されます!!

 通し稽古が楽しみです♪

| たまき | 2012/08/08 12:43 | URL | ≫ EDIT

◇たまき様
ありがとうございます。今ごろ通し稽古をご覧いただいているでしょうか…。家でグロッキーです。

| 服部暁典 | 2012/08/08 21:42 | URL |















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