暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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OCT/PASS「方丈の海」音楽解説 「把握した作品テーマ」

劇団Theatre Group OCT/PASSの作品「方丈の海」。音楽について解説する。今回は作曲作業に不可欠な、作品が内包するテーマをどうやって見つけたか、というお話。

■把握した作品テーマ
脚本そのものは早い段階で最終稿をいただくことができた。先に書いたように、具体的に曲を作るには裕人さんが埋め込んだ作品のテーマを見つけなければならない。しかし本作はそもそも被災地と被災者の心情を真っ向から捉えようとする作品でもあり、脚本を読むこと自体が自分にむちを打つような作業だった。その上テーマをきちんと把握できているかどうか長らく自信が持てず、非常に苦しかった。公開が一度延期され、その間に気仙沼〜南三陸〜女川〜石巻の惨状と、今は美しい海を何度か現地で見ることができた(別に作曲のために訪れたわけではない)。そうして改めて、震災と津波被害を考える時、自分には大自然が持つ「理不尽さへの怒り」しか感じられなかった。裕人さんはそれ以外にも生き残った人たちにも怒りを覚えている。とにもかくにも「怒り」だ。それしかない。そこでようやく「きれいなメロディをひたすら汚す」という手法が見えてきた。そんな葛藤の中で裕人さんの脚本の中の「希望」とか「優しさ」とか(言葉で書くと陳腐だけどさ)、言わば行間に忍び込ませた「救い」を見つけ出し、それをメロディに興せたことは幸運だった。芝居の後半、桜の映像のシーンやカーテンコールで流れるメロディがそれである。あのメロディは私と裕人さんの間では「石川裕人良心のテーマ」と呼んで、今回の音楽制作の精神的な拠り所になった。
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