暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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ノイズレスは正義か?

最近Facebook上でのやり取りからひとつ明らかになった私の嗜好がある。「ノイズ肯定派」なのだ、私は。と言っても音楽のジャンルとしてのノイズではなく、機材から発せられる雑音としてのノイズのことである。

Fecabook上でYAMAHAシンセサイザーの銘機、DX7の話になった。FM音源は何と言っても初代DX7にとどめを刺す。なぜか。すごくノイジーなのである。デジタルシンセの特徴とはまったく裏腹な話だが、初代DX7はノイジーだからこそ良いのである。

FM音源に限らず、デジタルシンセサイザーはDAW同梱のプラグインシンセ、あるいはサンプラーとして流通するなど、すっかり安価でポピュラーなものになった。デジタルシンセサイザーの音質とはすなわちデジタルデータをアナログ信号に変換するD/Aコンバータに由来する。これはハードウェアシンセでもソフトウェアシンセでもこの足かせから逃れることはできず、どんなに元波形がリッチでも、コンバータがショボければショボい出音にしかならない。

では例えばプラグインシンセを100万円もするD/Aコンバータ経由で鳴らせば最高の音なのか、と問われると必ずしもそうではない、と思う。少なくともシンセサイザーという楽器は、「高級=良い」「低級=悪い」という公式は当てはまらず、どちらかと言うとどういう出音であれ「個性」として認識される向きがある。

またシンセサイザーが「単なるプログラム」というレベルにまで簡素化されている現状では、デジタルドメイン上(DAW上で使うプラグインシンセみたいな)におけるノイズの無いクリアな音質はもはや既定値であり、ノイズレスは個性にはなり得ない。しかし80〜90年代の、重く、あれこれとスイッチの付いたヴィンテージデジタルシンセは、便利性を極限まで高めた現代のプラグインシンセと比較すれば存在そのものが特異であり、現代の耳と視点でデザインされたモダンハードウェアデジタルシンセと比べても、「不器用であるが故に個性的」な楽器として俄然魅力を増していると思うのだ。

実際私は鍵盤ハーモニカやギター、ベースなど、生楽器を多用して自作曲を作るが、Roland JUNO-106やKurzweil K-2000などのシンセは、ミックスダウン時の音楽のまとめにかかる手間が明らかに少ない。そして音色自身がちゃんと自分の居場所を見つけてくれる。そこにはノイズを伴った心地良い歪みがあり、実際に空気を震わせて発音する楽器と抜群に良く馴染むのだ。

実際ノイズは少ない方が良いのだが、ノイズゼロで録音された音楽が心地よく耳に響くかは疑問だ。
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