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暁スタジオ レコーディング日記

ミュージシャン服部暁典によるレコーディング、ライヴ、機材のよもやま話

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サンプラーの復権

サンプラーを購入した当時は何でもかんでもサンプリングしまくり、挙句の果てにはどんなCDを聴いていても、どんなテレビ番組を見ていても、「お!今のワンショットでいただき!」なんて耳で見聞きするようになってしまったものだ。

当時ブレイクビーツをサンプリングしたところでbpmは手計算で合わせていた。サンプルを再生して秒数をストップウォッチで測る。4~5回計測して同じ秒数が出るかどうか。少なくとも二回は同じ数値が出るまでは測る。そしてこれから作ろうとしている曲の同じ小節数分の秒数をこれまた測る。これはシーケンスソフト上のタイムカウンターで引き算をすれば良いだけなので楽だ。オリジナルと変更後の演奏時間から割り算をして何パーセント伸縮するのか計算するのだ。

もちろん私が買った初めてのサンプラーENSONIQ EPS16+にはタイムストレッチ機能は無いので、MIDIでデータをMacに吸い上げ、サンプルエディットソフトで処理する。このデータの吸い上げと処理後のデータダンプに恐ろしく時間がかかる。下手すると「行って来い」で30分くらいかかったりもした。もちろんその間作業は中断である。

だからCUBASE VSTというDAW上でその処理ができるのは衝撃的に便利だった。幸いたくさん録り貯めたサンプルは上記処理の過程でほとんど全部Mac内にデータとして保存していたので、CUBASEにはただインポートするだけ。アレンジメントウィンドウ上のトラックにドラッグアンドドロップ、長さを指定してストレッチする。サンプルのカットさえ正しく行われていれば、ほぼ100パーセントの確率でばっちり合う。素晴らしい!

その後、ブレイクビーツだけで音楽を作ることは決して自分のメインのスタイルにはならず、さらにブレイクビーツを使ってもせいぜい隠し味程度になってしまった。その上新規導入したLogicというソフトはこのタイムストレッチ機能が滅法弱い。

そんな折に久しぶりにEPS16+で再生したブレイクの音を思い出した。決して再現性が高いわけでもなく、むしろ腰太の音色に変化してしまうあの独特の音質。結果的に音楽にパンチを与えてくれるのである。

つまりDAW上で普通にサンプルを貼り付けても音がクリア過ぎるのだ。こうなると予め「汚してから」取り込まなければならない。後は各人の好みの問題だろうが、そもそもブレイクビーツなどのサンプルというのはそのほとんどが予め加工された音であり、つまり「現実には存在しない音」であるから原音に忠実であるかどうかはあまり問題ではなく、制作者のイメージに即しているかどうかだけが問題となる。となれば結局は好みの問題ということで結論付けても良いのではないか。

こうなると断然EPS16+の音がオレはいいなぁ。
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